Text&Photo by Taka Uematsu
ブリスベンCBD タウン・ホール
たまに、シティに行く。たまに行くからこそ、街の変化に敏感でいられる。毎日だとそうはいかない。
初めてブリスベンを訪れた時、シティのど真ん中のホテルに投宿して妻と数日、街をぶらつき、郊外をドライブして回った。その時、ブリスベンを気に入って、何を思ってか「ここに根付くんだ」と強く思ったのを覚えている。
ブリスベンを移住先として最終決定するかどうかのお試し滞在だった。もう、かれこれ20年近く前の話。その年の暮れ以来、変わらずブリスベンが”ホーム・タウン”で、今や故郷福岡よりも長く暮らす。いやはや、「Time flies」とはよく言ったものだ。
あのころのブリスベンは、今以上に、大きめの地方都市感が強かった。亜熱帯ならではのカジュアルな出立ちと、しっかりした格好との対比がはっきり見られた。ワーキング・ホリデー時代を過ごしたシドニーとは全く違う心地良さが街にはあった。
そんなシティの街並みも、前回触れたマイヤー・センターの例を引くまでもなく、ものすごいスピードで変容しているが、その中でも変わらないものもある。
街のアイコン、タウン・ホールだ。いつも、抜けるような青い空にシュッと立ち上がるその姿は変わらない。周囲の様子は変われども、タウン・ホールだけはいつもそこにあるという安心感がある。
ブリスベンには、変わりゆくものと変わらないものとのバランスを失わない魅力的な街になって欲しい。どうやら、この地で朽ち果てることになりそうだから、どうせならこの街に「もうここでいいや」と思わせる魅力的な街になってもらわねば─。20年前に根付くと決めたアラフィフはそう願う。