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豪州不動産購入のチャンスはいつ?ファーストホームバイヤーの特典も。2023~24年予測情報/オーストラリア不動産の現状

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長期にわたり豪州不動産販売のアドバイスやサポートを手掛けるGIM Capital Professional Pty Ltdが豪州不動産市場の動向や情報を分かりやすく解説。


 2023年も終盤が近づきました。社会の混迷を極めた新型コロナウィルス感染症の影響も拭い去られ、街には活気と豊かさが戻ってきた現在、不動産業界で何が起こり、来年はどうなるのか──。今回は、豪州2大不動産情報サイトの1つ「DOMAIN」の資料を用いて紐解き、複雑に絡み合う要素を見据えた上で、豪州不動産購入の機会を考察します。

2023~24会計年度のエグゼクティブサマリー

 DOMAINのレポートによると、オーストラリアの住宅市場は、2022年の低迷から2023~24年度の着実な回復を続けシドニー、アデレード、ホバートの価格は今後最大の上昇が見込まれています。ブリスン、ゴールドコーストも過去最高値に近づくとされる一方、メルボルンは22年の景気低迷で、これまでの中で3番目に深刻なもので、5四半期連続で住宅価格が6.5%下落しました。現在、景気後退時に失われた価値の約3分の1を取り戻し、過去30年間で最も遅い回復となります。また、キャンベラは一時的に鈍化されたが回復見込みと予想され、オーストラリア地方部は、都心より遅いながらも穏やかに成長すると言
われています。つまり、各地での成長と停滞、今後の回復見込みに差があることが報道されているのです。

価格上昇圧力と住宅不足の悪化

 建設業界は、技能不足、サプライチェーンの混乱、建設コストの高騰など、前例のない逆風に見
舞われ景気減速を起こしています。パンデミックが始まって以来、住宅建設コストは32%、生産コ
ストは22%増と、不動産製造価格の上昇につながり、その結果、既存住宅の供給不足が悪化。

 また、今年度及び、来年度の海外純移住数は過去最高に達し、約30万戸の住居が必要とされますが、25年度は更に移住者が急増することが予測されています。都市部では、住宅の手頃な価格が依然として大きな障壁で、多くの住宅購入者は手頃な価格の地域市場、特に主要都市や雇用の中心地に近く、アクセスが良好な地域の市場を求める傾向にあり、NSW州、VIC州、QLD州が移住者の最大の割合を占めます。これらの住宅不足と建設コストの上昇は、価格上昇に対し更にプレッシャーを掛けると解説されています。

価格の下落要因と買い渋り


 一方、上記で挙げた、避けられない不動産価格増加の背景とは別の圧力として、融資利率の上昇を懸念した購買者の意欲下落があります。コロナ禍により著しく下がった法定金利と銀行の融資利率により、一時的に購買者は増え、平均価格は上がりました。しかし、その状況から経済復興が実現した現在、むしろ不動産の価格上昇を抑制するために、金利が上がっています。ほんの数年とはいえ、下がった利率を見慣れた購買者にとって融資の利率の上り幅は精神的・経済的な脅威とも感じられます。それが「買い渋り」となって、一部の不動産の価格下落もしくは停滞要因となり市場を複雑化しています。その特徴と豪州不動産購入の機会を考察しましょう。

地域格差と購買者心理


 例えば、今後上昇が見込まれているシドニーは地域格差は激しく、それが大きな購買チャンスとなっています。都心から伸びる5本の鉄道路線沿いであってもその差は顕著です。東部のアッパー・エリアと北部は居住者の人気と需要により価格が高めであることは否めません。将来は西部に30%以上の人口が見込まれていますが、今だ西部パラマッタとその周辺の価格帯は前述の街より低めです。豊かな自然とのんびりした海辺の続く南部でも各街毎の平均値に差が大きいことは資料の上で明らかです。また北西部、南西部も比較的極端な値上がりを迎えているとは言いにくい状況です。

 その他、現在回復が遅れがちであるメルボルンは、東部と西部の価格差がありますが、一時的に集合住宅の価格上昇の遅れが見て取れます。QLD州は、新型コロナウイルス感染症の悪影響がないまま右肩上がりが顕著です。これらの状況を客観的に俯瞰し、比較的遅めの回復の都市、まだ上昇の波に飲み込まれていないエリア、そして都心部にも移動が楽になりつつある新交通網の近辺などを目安に、自身の新住居や投資を目標とし、不動産購入を考えるのも良いでしょう。

 コロナ禍下で上昇した土地価格により、例えばシドニーはコロナ禍前は戸建住宅の中値が1ミリオン以下だったのに対し、コロナ禍後は1.5ミリオンを前後しています。この状況により一軒家が庶民の手に届きにくくなった半面、利便性の良い場所の集合住宅へ購買者がシフトしています。かつて牧歌的なイメージが強かったオーストラリアは、需要に押され急激な街の近代化が始まっていると言えます。

 これらの市場を冷静かつ客観的に見渡せば、高騰後の物件を避け、今後上昇見込みのある地域に投資としての資産運用を始める、またはまだ回復途中のエリアでの比較的低めの価格帯で自身の手が届く堅実な不動産を自宅として手に入れることが可能になります。今年末まで施行されるファーストホームバイヤーの特典も有効です。まだ市場が冷えている地域のディベロッパーによっては、抑え目価格不動産を見出すことも可能な「格差があるのが現状」です。

 また、土地の値上がりと共に戸建住宅の値上がりが激しい反面、集合住宅に人びとの居住や購買が移行しつつあります。外国からの流入者もアパートの方が手軽であることから今後需要が増すと思われます。利便性と将来の価値の情報を見込める場所にご自身の資産を構築するもの良いでしょう。不動産購入の判断は、信頼できる専門家にアドバイスを求めることをお勧めします。

このコラムの著者

鶴美枝

鶴美枝

グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フルライセンス保持

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