初めまして。日豪プレスの新米編集部員、沖あやかです。来豪してから1年半、私にとってまだ新鮮な驚きが日々続いているオーストラリアでの生活。10月からメルボルンで新生活を始め、新たな挑戦として日豪プレスでの仕事をスタートしました。緊張しながらも、新しい環境での仕事に胸を躍らせていた矢先、思いがけない大役が私に託されました。その任務は、なんとメルボルン・カップの取材。“オーストラリアで最も愛され、オーストラリアを象徴するイベント”とも称される競馬の祭典に参加したリポートをお届けします。（文・写真＝沖あやか）
華麗なる競馬の祭典、メルボルン・カップ
今回の取材は、「メルボルン・カップ？それって何？」そんな疑問から始まりました。調べてみると、オーストラリアで最も有名な競馬の競走。毎年11月の第1火曜日、フレミントン競馬場で開催され、3200メートルという長距離を競うこのレースは、「国の動きを止めるレース」と呼ばれ、国民的行事にまでなっているのです。
また、メルボルン・カップの魅力はその豪華さにあります。チケット価格は約60ドルから数千ドルに及び、アルコールや食事も高級。公共イベントとしては、かなりエクスクルーシブな雰囲気が漂います。観客も日本の競馬とは異なり、オーストラリアでは、おしゃれをして出掛ける社交の場でもあります。華やかで歴史を感じ、何よりもおしゃれ。競馬場に足を踏み入れるだけで200ドルもするとは、日本との文化の違いに驚かされました。
メルボルン・カップでの取材準備を進める中で、私はこのイベントの多面性に魅了されました。歴史ある競馬の祭典は、ただのスポーツ・イベントではなく、文化的なシンボルとして、多くの人びとに愛されていることを実感。入場にあたり、ドレス・コードも厳しく、取材を進めるためには、私もこの場にふさわしい装いをしなければなりません。これまで経験したことのないフォーマルなイベントへの参加。緊張と期待が入り混じる中、取材準備を始めたのです。
オーストラリアの国全体の動きが止まる日
初めてのメルボルン・カップで会場での観戦。私は、ドキドキしながら馬券を手に入れました。ビギナーズ・ラックに期待していましたが、結果は残念ながら敗北。しかし、その一部を体感できた興奮と喜びは、何物にも代えがたいものでした。メイン・レースの時間が近づくにつれ、数えきれないほどの人がレース・トラック沿いに集まり始めます。大衆の間を縫って歩くのも一苦労。そこには筆舌に尽くし難いほどの熱気があふれていました。その様子をカメラに収めたことは、私にとって忘れがたい体験の1つとなりました。競馬の興奮、人びとの熱狂、そしてレースのドラマを目の当たりにし、メルボルン・カップの魅力を更に深く感じることができたのです。
待ちに待ったメルボルン・カップ当日、そこには別世界が広がっていました。ドレスアップした女性たちが、彩り豊かなファッションで競馬場に佇む姿は、まさに圧巻。日本の競馬場では考えられないほどフォーマルで洗練された雰囲気です。特に印象的だったのは、会場内で行われたファッション・コンテスト。参加者たちは、個性的で華やかな装いを競い合い、その光景に圧倒されました。1人の男性は、毎年夫婦でコンテストに参加していると語っていました。そんな彼らの姿に、メルボルン・カップの文化的な重要性を感じずにはいられませんでした。
華やかな舞台への招待、メルボルン・カップの魅力と私の体験
私は、このイベントを通じて、オーストラリアの多様な文化とその表現方法に触れることができました。競馬場の広さにも驚き、そこで出会った人びとや彼らの情熱に感動しました。メルボルン・カップは、単なる競馬のイベントではなく、オーストラリアの文化的・社会的な一面を映し出すイベントであることを深く実感したのです。そして私は、新米編集部員として、多くを学び、経験し、そして何よりも楽しむことができました。
競馬というスポーツの枠を超えて、オーストラリア社会の多様性と包容力を象徴する場として、メルボルン・カップは私に多くのことを教えてくれました。この体験を通して、オーストラリア文化を肌で感じ、取材以上のものを得ることができました。
特に印象に残っているのは、ファッションの華やかさと、イベント全体のすばらしい雰囲気です。私たちが日常では味わえないような特別な体験がそこにはありました。メルボルン・カップは、競馬だけでなく、ファッションや社交の場としても、非常に重要な意味を持つイベントです。
来年のメルボルン・カップには、ぜひ皆さんも足を運んでみてください。その華やかさとすばらしい雰囲気を、自分の目で確かめることをお勧めします。きっと、新たな発見や楽しみがあなたを待っているはずです。私も来年の開催を心待ちにしています。
最後になりましたが、この度ご招待頂いた「Victoria Racing Club」に心から感謝申し上げます。オーストラリアの文化を象徴するイベントに参加するという大変光栄な体験をさせて頂き、ありがとうございます。また来年もこの興奮と魅力に満ちたメルボルン・カップの現場から、レポートをお届けできることを願います。
