Styling vintage kimono in Melbourne
Wardrobe: Kazari + Ziguzagu (W: kazari.com.au)
Stylist: Sala Okabe (W: salaokabe.com)
Photographer: Rina Kakioka (W: rinasmilephotography.com)
Model: Kumiko Yamakura
新しい年を迎え、気分も新たに、少しだけ華やかな着物で和装を楽しんでみませんか。今回は、年始の行事やお呼ばれにふさわしい大人の着こなしを紹介します。
シックな灰青色の地には、西洋絵画のように力強く描かれた植物が裾に広がっていますが、これらはわらびとシダです。わらびはくるりと丸まった新芽が特徴で、早蕨(さわらび)と言い、春に芽生えます。わらびが開くとシダ状の葉になるため、シダと共に描かれることが多いようです。
シダはその繁殖力の強さから、子孫繁栄、商売繁盛の象徴とされています。また枝が長く伸びることから長寿を表す意匠でもあり、とても縁起が良く、新年にふさわしい柄行(がらゆき)です。
この特別な付け下げ訪問着には、落ち着いた色味の金糸が織り込まれた袋帯を合わせています。この組み合わせは、「染めの着物に織りの帯」という言葉があるように、まず間違いのない相性です。半襟や帯揚げ、草履などの色はトーンを合わせて控えめにし、着物のデザインを引き立たせます。
アクセントに小ぶり翡翠(ひすい)の帯留めを取り入れ、着物と帯共に、古典的でありながらもどこか現代的でクールなニュアンスを感じさせる大人の着こなしに仕上げました。縁起の良い柄行と洗練された着こなしが、新しい年に相応しい華やかさを演出してくれます。
ぜひ今年こそ特別な日に和装で楽しんでみてはいかがでしょうか。
このコラムの著者
Haru
創業1979年、メルボルンで日本の古い家具や陶器、着物、古布などを輸入販売する「Kazari + Ziguzagu」にてテキスタイル仕入れ担当兼マネジャーを務める。Instagram: @ziguzagu_textiles