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「アレ」がまさかの大賞!? ─ハルシネーションなど、2023年新語に垣間見える外来語の影響/オーストラリア弁(新方言)を探せ 第21回

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 前回取り上げた「『現代用語の基礎知識』が選ぶユーキャン新語・流行語大賞』」の結果が発表された。2023年の大賞に選ばれたのは、「アレ(A.R.E.)」。38年ぶりに優勝した、プロ野球の阪神タイガースの「アレ=優勝」は、日本中の注目を集めた。

 また、三省堂による「辞書を編む人が選ぶ今年の新語2023」では、「地球沸騰化」が大賞に選ばれた。これは、グテーレス国連事務総長の発言から生まれた、地球温暖化の深刻さを表現した言葉だ。

 第2位には人口知能AIが事実とは異なる情報を生み出してしまう「ハルシネーション」、第3位にはかわいいという意味を言い換えた若者言葉「かわちい」が選ばれた。

 4位は「性加害・性被害」、5位は都合が悪いことを覆い隠す「〇〇ウォッシュ」、6位はアニメやゲームのキャラクターを印刷したアクリル・スタンドの「アクスタ」、7位は議論の中身ではなく口調や態度を問題にして話をそらす「トーンポリシング」、8位はSNSなどの他人の投稿を自分のアカウントで紹介する「リポスト」、9位は紛争時に民間人の避難や支援物資の輸送などのために一時的に設ける「人道回廊」、10位には詐欺などの犯罪行為の一端を担う「闇バイト」が選ばれた。

 小学館の「『大辞泉』が選ぶ新語大賞2023」では、「生成AI」が大賞に輝いている。画像や文章、音楽、デザインなどの分野で、2023年は人工知能AIが私たちの生活に広く浸透した1年だった。次点は「闇バイト」と、好意を持つ相手が自分に好意を持ち始めると嫌悪を感じてしまう状態を現した「蛙化現象」が選ばれた。

 一方、X(旧・ツイッター)の「SNS流行語大賞2023」では、今年最もバズったワードとして「かわちい」が選出された。「kawaii」は英語にもなっているほど日本のポップ・カルチャーを象徴する言葉だが、Z世代の若者にはそれさえも物足りないほど、まだまだかわいいという概念が大きな軸となっているようである。

 第2位にはNintendo Switchのパズル系ゲーム「スイカゲーム」。3位はYukopiの「強風オールバック」という曲の歌詞からきている「〇〇した瞬間、終わったわ」、4位は尊いという意味の「てぇてぇ」、5位には阪神タイガースの「アレ」が入賞した。

 今回、各社から発表された新語26語の内、外来語由来のカタカナの借用語の合計は、12語で46%。英語のアルファベットをそのまま使った言葉は4語で15%。合計で、なんと61%もの言葉が外来語由来の言葉だった。

 日本の言葉でさえこれほどの影響を受けているのだから、英語圏に暮らす豪州在住の日本人の言葉が英語に影響されてしまうのも、致し方ないことなのかもしれない。

プロフィル

ランス陽子

フォトグラファー/ライター、博士(美術)。現在、グリフィス大学の大学院でオーストラリアの日本人コミュニティーにおける日本語変種を研究中。ゴールドコーストでの調査を手始めに、今後はオーストラリア各地での調査を予定している。在豪日本人が使用している面白い言葉についての情報を募集中。情報やメッセージはFBコメント欄かFBメッセージまで。「オーストラリア弁を探せ!プロジェクト」
(Web:www.facebook.com/JapaneseVariationInAUS

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