(文・写真=板屋雅博)
2024年グランドスラムの第1戦、全豪オープン2024は、1月28日に15日間の日程を終えた。昨年までは14日間であったが、1回戦をこれまでの2日間から3日間に変更して余裕を持った1回戦スケジュールとなった。欧米のテレビ番組に合わせることも目的であったと思われる。
男子シングルスでは第4シードのイタリアのヤニック・シナー、女子シングルスでは第2シードのベラルーシのアリナ・サバレンカが優勝した。
男子第1シードのノバク・ジョコビッチは準決勝でシナーに1─3で敗退、女子第1シードのイガ・シフィオンテクは3回戦で敗退した。
日本勢は全体として低調だったが、気を吐いたのは車いす男子シングルスの小田凱人、17歳で、全豪では初優勝、グランドスラムで3勝目を挙げた。車いす女子シングルスでは上地結衣が準優勝を果たした。
筆者がうれしかったことは、国枝慎吾が2007年から全豪で5連覇したが、そのころ観客はほとんど入っていなかった。ところが今年の決勝戦では、かなり多くの観客がキア・アリーナに観戦に訪れ、声援を送っていたことである。車いすテニスがプロ・スポーツとして確立し、日本の男女選手がトップにいることは喜ばしいことである。
ジュニア男子シングルスでは、17歳の坂本怜が決勝を逆転で勝利し、ジュニア4大大会初優勝を飾った。グランドスラムでのジュニア優勝は全英を制した望月慎太郎以来、2人目である。193センチ、80キロと体格に恵まれ、時速200キロを超すサーブを打つ。大柄な外人選手と堂々と戦える選手であり、早くも来年の全豪が楽しみである。
日本勢は、男子シングルスは西岡良仁、ダニエル太郎、綿貫陽介、望月慎太郎、女子シングルスでは大坂なおみ、日比野菜緒、本玉真唯の7人が参加したが全員1回戦で敗退した。
男子ダブルスでは西岡良仁/マクラクラン勉ペアが1回戦敗退、女子ダブルスでは第16シードの穂積絵莉/二宮真琴ペアが2回戦敗退、加藤未唯/A・スーチャディ・ペアは1回戦敗退、第6シードの柴原瑛菜/デシラエ・クラウチク・ペアは3回戦で惜しい逆転負け、青山修子/A・クルニッチ・ペアは2回戦敗退となった。
今年、筆者が現場で感じたことがある。
豪州選手と欧州選手の対戦途中に、会場の司会者が観客の子どもに好きな食べ物は何かと尋ねたところ、最初の子どもは「みそスープ」、次の子どもは「すし」、3番目の子どもは「バクテー」(マレーシア料理)と回答した。また、日本選手が不在で、日本人観客はいないと思われた試合でも「ガンバレー」の声が会場に何度も響いた。みそスープ、すし、がんばれは国際語になってきたと思うし、観客も更に国際化が進んでいると見られる。