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オーストラリアへの期待と実際に直面した仕事探しの現実とのギャップ/海外の就活事情①

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メルボルン・セントラル・ビジネス・ディストリクトにあるH&M前で

 私は高校生の時、豊かな自然や多様な文化に魅了されて、オーストラリアの大学に進学することを決意しました。日々の生活に必要なインフラや文化、教育の面で高い評価を受けるオーストラリアは、住みやすい国として数えられています。私はこのような環境での生活、そして英語を使って働く経験を通じて、新たな価値観に触れ、視野を広げることを楽しみにしていました。本連載では、オーストラリアでの就職活動や日常生活についてリアルな情報をお届けします。
(文・写真=沖あやか)

 オーストラリアの魅力の1つは、留学で学校に通いながら働くことができる点です。多くの国では就労が制限される中、オーストラリアでは学生ビザで週に48時間まで、ワーキング・ホリデー・ビザではフルタイムでの就労が可能です。また、最低基本時給が日本と比べ非常に高く、2024年1月現在で23.23豪ドル(約2,300円)という驚くほど高額に設定されており、アルバイト契約では更に25%が上乗せされます。このような条件は、長期にわたり海外で生活したいと考える人にとって夢のような制度と言えるでしょう。

 しかし、実際にオーストラリアで生活を始めてみると、仕事を見つけるのは想像以上に困難でした。私はカジュアル雇用は日本でのアルバイトと同じようにシフトが簡単にもらえると考えていたため、その違いに悩みました。メルボルンでは、50件くらい応募してもほとんど返事がなく、私の履歴書がチェックされてもいない現実に直面したのです。

オーストラリアで生活をすることの難しさ

22豪ドル(約2,200円)のフレンチ・トースト

 私の仕事探しは、なかなか上手く行きませんでした。例えば、カフェやレストランでのアルバイトは、就労が比較的容易に見つかる職種として人気があります。これらの仕事を見つけるために履歴書をさまざまな所へ配布し、それからトライアルを経験することが一般的ですが、それが必ずしも仕事につながるとは限りません。給料が支払われないことも多く、労働の対価を得られないことに失望することもあります。また、オーストラリアでは21歳以下の労働者に対して低賃金が設定されることが一般的で、若年層にとっては雇用の機会が限られていると感じました。

 言語の壁も大きな挑戦です。英語が母国語でない私たちにとって、コミュニケーションは日常業務だけでなく、仕事探しの過程でも障壁となります。加えて、カジュアル雇用は当日にシフトをキャンセルされることなどがあり、経済的な不安に悩むこともあります。また正社員の仕事に応募しても、ビザがネックとなり、多くのチャンスを逃してしまった経験もあります。

 このような不安定な環境の中で、高い物価という別の課題にも直面します。確かに、オーストラリアでは時給が高く、受け取る金額は日本と比べて多いですが、物価が高く、特に住宅費が大きな負担となります。メルボルン・シティーでオウン・ルームを借りる場合、月額1,800豪ドル(約18万円)は当たり前で、光熱費などが加わることもあります。食費に関しては、自炊をすることで節約できますが、外食すると一食当たり25~30豪ドル(約2,500~3,000円)は掛かることが一般的です。また、お酒に関しても、日本の2倍ほど、特にカクテルは一杯に20豪ドル(約2,000円)など、かなり高額です。

 こうした状況は、オーストラリアでの職探しを、更に厳しくしています。言語能力、競争の激しさ、物価高といった多くの要素が、この挑戦に影響を与えているのです。

仕事探しから学んだこと

ビクトリア・マーケットから撮影したメルボルン・シティー

 メルボルンでの職探しでは、履歴書を配り、トライアルを受けるだけでは不十分でした。仕事を得るためには、地道なネットワーキングや、積極的な自己ピーアールが必要です。一方で仕事探しのプロセス自体が、英語力を含むコミュニケーション能力の向上にも役立ちます。就活の中で学んだ、新しい環境での生活、異文化交流、そして自己の限界を超える経験は、かけがえのないものとなりました。仕事を探す過程は簡単ではありませんでしたが、その中で得られた成長と経験は、私の将来にとって大きな財産です。

 この連載を通して、私が学んだことや経験したことが、仕事探しに悩んでいる皆さんにとって、少しでも助けとなればと思います。上手くいかない時でも、くじけず、自分自身を信じ、前に進む勇気を持つことが大切です。オーストラリアでの生活は、さまざまな挑戦がありますが、そこで得られる学びや経験は非常に価値があるものです。就活の過程の中、私もとても思い悩みました。しかしそれらを乗り越えることで、成長することができたと感じています。一歩ずつ進んでいくことが大切です。自分なりの方法で前進し続けることが、結果的に大きな成果を生むと私は信じています。





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