欧州で相次ぐ接種中止に「安全性に問題なし」
ヨーロッパのいくつかの国でアストラゼネカ・ワクチン接種後に血栓症を発症するという症例がいくつか出ており、死亡例もあるため、同圏内で10か国がアストラゼネカ・ワクチン接種を中止している。
しかし、オーストラリア連邦のポール・ケリー主席医務官は、「アストラゼネカ・ワクチンが血栓症を引き起こすとは証明されておらず、ワクチンが血栓症の原因になることはあり得ない。むしろコロナウイルスが血栓症を引き起こすことが知られている」として、同ワクチン接種を継続する考えを明らかにした。
ABC放送(電子版)が伝えた。
ケリー主席医務官は、「オーストラリアでこれまでにアストラゼネカ・ワクチン接種を受けた人の間で血栓症が増えた事実はない。本日、政府の専門家グループがワクチン問題で会合を開き、これまでの証拠に基づいてオーストラリア国内でアストラゼネカ・ワクチン使用を中止する理由はないと決定した」と語っている。
さらに、「専門家がイギリスでの同ワクチン接種の状況を検討し、すでに1,100万人がアストラゼネカ・ワクチンの接種を受けているが血栓症が増加したという事実はない。アストラゼネカ・ワクチンの安全性に疑問はない。国の医薬品管理局(TGA)もヨーロッパでの問題を認識しているが、ワクチンと血栓症との間に因果関係があるとは見ていない。また、オーストラリアで同ワクチンを受けた人の間で血栓症が増えた事実はない」と語っている。
ヨーロッパではこれまでにデンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、ドイツ、アイルランドなどが同ワクチンと血栓症との因果関係を探り、因果関係のないことが証明されるまで同ワクチンの接種を中止すると発表している。
オーストラリア国内の医療専門家は、「世界中でこれまでにアストラゼネカ・ワクチンを受けた1,700万人のうち、接種後に血栓症を発症した者は37人に留まっており、ワクチンを受けない場合の血栓症発生率よりもむしろ低い。アストラゼネカ・ワクチン接種を中止した国はあくまでも最大限の安全を考えての処置だ」と分析している。
この問題が報道されて以来、マシュー・キャナバン国民党上院、クレイグ・ケリー無所属下院、ポーリン・ハンソン一国党上院各議員ら、いずれも超保守議員がアストラゼネカ・ワクチン接種中止を求めている。
■ソース
AstraZeneca COVID-19 vaccine rollout will not be paused over clot concerns, Australian Chief Medical Officer says