社会進歩の穏健派、宗教保守のペロテットに抵抗感
グラディス・ベレジクリアン氏は、ICACの腐敗容疑調査対象と名指され、コロナウイルス対策指揮を半ばにして長年のNSW州保守連合政権首相を辞任した。NSW州自由党政権は、ニック・グライナー、バリー・オファレル両氏に続いて3人が腐敗容疑で州首相の座を退いたことになる。
州自由党重鎮のフィリップ・ラドック氏、プル・ガワード氏らが、「政治状況もわきまえずこんな時に州首相の腐敗調査とは」と、ICACを批判したが、法学者ら専門家は、「ICACの調査は正当」と擁護している。
ベレジクリアン氏の後任選挙は10月5日に自由党議員団の間で行われることになっており、ドミニク・ペロテット、アンドルー・コンスタンス、ロブ・ストークス、スチュアート・エアーズらが名乗りを挙げるものと見られているが、ベレジクリアン氏の下で自由党副党首を務めてきたドミニク・ペロテット氏が有力視されている。
しかし、ペロテット氏は強硬なカソリック保守として、これまでも社会保守的な意見を広言するなどしており、これまで自由党系のNSW州首相は穏健派から出る伝統があったことから、多数派の穏健派議員の間では社会進歩的な都市の自由党支持有権者に対する党の印象に危機感を感じる声が出ている。
ペロテット氏は穏健派のリーダー、マット・キーン環境相と取引があったとされており、党首の座を穏健派から超右派に譲る代償としてキーン氏が州自由党副党首に昇進することになる。
穏健派議員は、キーン氏とペロテット氏の取引に背き、ストークス計画相またはエアーズ雇用相を推す構えを示している。
また、コンスタンス運輸相は、州政界を離れ、州南部海岸地域のギルモア選挙区から連邦選挙に打って出ることが取り沙汰されている。また、穏健派のマーク・スピークマン法務長官も党首選に名乗りを挙げる可能性がいわれている。
穏健派のパワーブローカー、マイケル・フォティオス氏はペロテット氏支持で穏健派の票を取りまとめようとしていると伝えられている。
自由党州議員団は、穏健派20人前後、超右派と中道右派合わせて10人、どの派閥にも属さない議員も4人か5人いるとされている。
■ソース
Liberal Party’s dominant moderate faction at odds over new premier