マクガワンWA州首相、ペロテット氏を「文句垂れ」
グラディス・ベレジクリアン前NSW州首相の下で財相を務めたドミニク・ペロテット新州首相は、就任の挨拶で早速消費税税収の各州・準州への分配率変更に言及したが、マーク・マクガワンWA州首相が直ちに「文句垂れだ」と批判している。
10月5日付ABC放送(電子版)が伝えた。
消費税(GST)税収は、販売者が一旦消費者から徴収した上で国税庁(ATO)に納め、連邦政府が各州・準州に規定の分配率で分配する手続きを取っている。人口が少なく、有利な鉱山を抱えるWA州は常に「NSW州など人口の多い州を養っている」と主張し続け、2018年にはWA州への分配率が引き上げられている。
10月5日朝のNSW州議会自由党議員団の選挙で39票対5票で穏健派のロブ・ストークス氏に快勝した超保守派のペロテット氏は第46代NSW州首相に就任した。
ペロテット氏は財相時代から消費税のNSW州への分配率を引き上げを要求し続けてきたが、マクガワンWA州首相は、「NSW州はWA州の強い経済に感謝すべきだろう」とこれまでも繰り返しており、9月にはWA州が58億ドルの州財政黒字を出したことについて、マクガワンWA州首相を、「オーストラリア政界のゴラム」と呼んでいる。ゴラムは、小説「ホビット」の敵役で狡猾で残忍な登場人物であり、ペロテット財相(当時)は、「マクガワンが洞穴の中で自分の宝物の消費税を抱えている姿を想像できるだろう」としている。
5日の就任の挨拶でも、ペロテット新NSW州首相は、「消費税分配でNSW州が取り分を逃すことはしない。これは友情の輪というものではない。NSW州の利益ための戦いだ。マークはWA州のために戦う。私はNSW州州民を代表して戦う。消費税は、学校、病院、看護師、教師、警察官のために支払われるべきものだ」と語った。
ペロテット就任挨拶に対して、マクガワンWA州首相は、「NSW州政府は財政管理に関する限り非常にお粗末だ。莫大な赤字と莫大な借金を抱えている。コロナウイルス対策もお粗末だった。自分達の状況を鏡を見て反省する代わりに西の端にある州が悪いんだと泣き言を垂れている。ペロテットNSW州首相は、WA州を攻撃してないで、WA州の金でNSW州を養っていることを、WA州民に感謝すべきだろう。WA州は最近も58億ドルの黒字を出しているが、NSW州は何百億ドルもの赤字を出している。NSW州にとやかく言われる筋合いはない」と反論している。
連邦議会では、スコット・モリソン連邦首相も、野党労働党のアンソニー・アルバネージ党首も、「現在のGST分配率を変更する考えはない」と明言している。
州・準州から連邦に行く消費税額に対して州・準州が受け取る分配率は、WA州がもっとも少なくて40%、NSW州は95%、最大はNTの470%となっており、WA州が全州・準州に分け与えている形になっている。
■ソース
Mark McGowan draws battle lines over GST share as Dominic Perrottet sworn in as NSW Premier