2025年までに世界初の「ゼロ排出」航空路線
シドニー・ハーバーのローズ・ベイを基地とする水上艇遊覧飛行が2025年までに完全電動化のゼロ排出航空路線を達成すると発表した。実現すれば世界初の試みとなる。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
Sydney Seaplanes社のアーロン・ショウCEOは、シドニー・ハーバーを拠点として5機の水上艇を運航させており、さらに4機増やし、2023年までには完全に電動機駆動の商業航空路線に切り替えるとしている。
さらに、「将来的に航空界にも大改革が訪れると確信しており、当社がその先駆けとなることを望んでいる。将来の航空界は電化だ。さらに基地の充電所もソーラー技術を採用し、当社が世界に先駆けて完全電化ゼロ排出の航空会社になることを目指している。2023年を目指しているが、規制当局の認可次第だ」と語っている。
化石燃料を燃やす内燃機関に代わる動力源として電動機を搭載した航空機の開発を進めている企業がいくつもあるが、現在は電池の重量が大きな障害になっている。
現在Sydney Seaplanesの飛行区間は遠いところでもローズ・ベイから北のパーム・ビーチまで10分ほどの距離だが、12月15日にはシドニー・ハーバーからキャンベラのレーク・バーリー・グリフィンまでの試験飛行を計画しており、2021年9月から1日3往復のシドニー・キャンベラ航空路線を開設する計画になっている。
ショウCEOは、「すでに短距離区間で技術的には可能になっているゼロ排出航空旅客輸送で環境への利益は大きい。さらに電池技術が今後も飛躍的に向上すれば飛行距離もさらに伸びることが考えられる。そうなれば、シドニー・キャンベラ間も電動機駆動のフライトを実現できる」と語っている。
ショウCEOは、「現在の航空燃料内燃機関に比べ、電動機の飛行機は騒音を75%削減することができる。また、内燃機関は飛行3,600時間ごとに整備が必要だが、電動機では10,000時間ごととかなり整備コストが削減できる」と語っている。
ただし、調査開発コストはまだまだ大きく、同社と航空機エンジン・メーカーのmagniX社は今後2年間に500万ドルの資金で開発を進める計画を用意している。また、同社は、所有する定員12人のセスナ・キャラバン機の電動化に対して豪州民間航空安全局(CASA)の認可を得るため、同局と協力して作業を進めている。
■ソース
‘Aviation revolution’: Sydney Harbour to be home to world’s first zero-emissions airline