VIC州のコロナウイルス・ホテル隔離制度調査報告書

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担当州省庁同士で見解の相違が責任の空白生む

 12月20日、ジェニファ・コート元判事率いる調査委員会が手がけていた「VIC州のホテル隔離制度の失敗で起きたコロナウイルス蔓延第二波の原因究明」の調査報告書を政府に提出した。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 VIC州の第二波は感染者の90%が同一のホテル隔離者のウイルスに感染していたことがゲノム解析で突き止められ、ホテル隔離で管理違反行為があったことと関連づけられたため、調査委員会が設立された。

 この調査委員会は27日にわたって公聴会を開き、96人が証言席に座り、さらに35万ページ強の資料を集めた。

 コート判事は、2020年3月28日に州統括本部(SCC)での会議で、厚生省(DHHS)がホテル隔離プログラムの統括機関として指揮し、雇用産業地区地域担当省(DJPR)が協力機関として援助することが決まっていたが、どちらがプログラムの責任を負うかで意見が対立していたと判断。この対立のために隔離プログラムの実施においてかなりの問題を残し、この委員会の調査においてもかなりの時間を費やすことになったとしている。

 ジェニー・ミカコス保健相とキム・ピーク厚生省事務次官の双方が調査委員会の報告前に辞任しており、ダニエル・アンドルーズ州首相は、「2人が辞任していなければこの報告書発表とともに辞任するしかなかっただろう」と語っている。

 また、ホテル隔離の警備に民間企業を使うことを決めたのが誰なのかについて、調査委員会は遂に決定者を突き止めることができなかった。これについて、コート判事は、「失敗したこのプログラムについて誰も責任を負おうとはしなかった」と述べている。

 警察に打診があった時も、警察側は、隔離警備を民間企業に任せ、警察は補佐的な立場に留まるとしていた。その結果、どの政府機関も反対せず、正式決定がないまま民間会社との契約に向かったとしている。

 また、DPJRが民間会社を選定する過程は適正性と厳格な審査に欠けており、また、現場警備員も安定性のない臨時雇用で、適切十分な訓練を受けていなかった。警察官や兵士のように強固な職分意識や職場の安全問題などを明確に意識した正雇用職員であれば十分に対処しえただろうとしている。

 また、不十分な状況で複雑かつ高リスクのホテル隔離制度を36時間で編成しなければならなかったことが大きく原因していると述べており、しかし、当時連邦政府も何の計画も持っていなかったのだから、VIC州政府にすべての責任を負わせることは公正を欠くとしている。

 また、11月に発表した中間報告書に盛り込まれた69項目の勧告に続いて、最終報告書でもさらに12項目の勧告を盛り込んでいる。
■ソース
Victoria’s COVID-19 Hotel Quarantine Inquiry has delivered its final report. Here are the key findings

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