「私たちは決して忘れない」 オーストラリアで戦没者追悼の式典

SHARE

110年目のアンザック・デー ガリポリ上陸作戦で8,000人以上戦死

 オーストラリア各地では25日の夜明けとともに、戦没者を追悼する祝日「アンザック・デー」の式典が開かれた。退役軍人らによるパレードも行われ、これまでの戦争で命を落とした戦没者10万人以上に祈りを捧げた。

 公共放送ABC(電子版)によると、首都キャンベラにある戦争記念館で行われた式典には約2万6,000人が参列した。先住民アボリジナル・トレス海峡島しょ民の兵士に敬意を表し、ディジュリドゥ(先住民の伝統的管楽器)の演奏が行われた後、アンソニー・アルバニージー首相がスピーチで「彼ら(戦没者)の魂は今も私たちとともにある。私たちはその尊い犠牲にふさわしい生き方をしていると願う」と述べた。

 東部シドニーの中心街マーティン・プレースにある戦没者追悼碑前では、ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相が「従軍して自らの命を捧げることは、最も重要な公職だ。私たちはいったん立ち止まって、彼らの犠牲に感謝の念を表したい。私たちは決して忘れない」と追悼の言葉を述べた。

 一方、南東部メルボルンの戦没者慰霊館前に約5万人を集めた夜明けの式典では、先住民による冒頭の歓迎の辞に対して、ネオナチと見られる参加者がヤジやブーイングを飛ばし、進行を妨げるトラブルがあった。ABCによると、警察は極右活動家の男性1人(26歳)を会場から連行したという。

 第1次世界大戦に連合国として参加したオーストラリア・ニュージーランド連合軍(ANZAC=アンザック)は110年前の1915年4月25日、オスマン帝国(現在のトルコ)への上陸作戦「ガリポリの戦い」を開始した。オーストラリアにとって、1901年の連邦発足後初の本格的な海外派兵だった。しかし、上陸は難航を極め、オーストラリア軍は戦死者8,141人を含む2万6,111人の死傷者を出した。

 その後、4月25日は「アンザック・デー」と定められた。オーストラリア国民にとって重要な歴史の局面を振り返るとともに、すべての戦没者を慰霊する祝日となっている。

 なお、ガリポリの戦いで生き残った最後の退役軍人、アレック・キャンベルさんは2022年、103歳で死去している。

■ソース

Australians mark 110 years since Gallipoli with Anzac Day dawn services and marches across the country(ABC News)

‘Neo-nazis’ boo Welcome to Country address at Melbourne Anzac Day dawn service(ABC News)

THE LAST GALLIPOLI VETERAN(National Film and Sound Archive of Australia)

SHARE
Google Adsense
[the_ad_placement id="single-new-bottom"]