既存政党批判票の受け皿に

5月3日投票のオーストラリア連邦選挙まで1週間を切った。焦点は、アンソニー・アルバニージー首相の与党労働党(中道左派)、ピーター・ダットン代表(自由党党首)率いる最大野党・保守連合(中道右派)の二大政党の勝敗だけではない。左派の環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)、温室効果ガス削減策や再エネ強化を掲げる保守系無所属議員のグループ「ティール」といった少数勢力がどこまで躍進するかも注目される。
28日付の全国紙「オーストラリアン」が掲載したニューズポールの世論調査(21〜24日実施)によると、選好票配分後の得票率に近い「二大政党別支持率」は、労働党52%、保守連合48%と、1週間前の前回調査(14〜17日実施)と変わらなかった。
選好票配分前の一次得票率に相当する「各政党別支持率」も労働党34%、保守連合35%と前回と同じだった。それ以外の少数政党は、グリーンズ11%(1ポイント下落)、移民受け入れ削減などを掲げる右派「ワンネーション」8%(1ポイント上昇)、ティールを含む「その他」12%(前回と変わらず)だった。
各党の支持率がそのまま投票に反映された場合、選挙結果のシナリオは、労働党の単独過半数維持、または同党の少数与党転落の2択に絞り込まれている。
労働党、保守連合の支持率はともに最低水準
同紙によると、二大政党への支持率は引き続き歴史的低水準に沈んでいる。労働党の各政党別支持率は、2022年5月の前回選挙で記録した史上最低の一次得票率32.6%を1.4ポイント上回っているものの、依然として低水準にとどまる。保守連合も自由党結党以来最低だった前回選挙の35.7%をさらに0.7ポイント下回っている。
前回選挙では、グリーンズ(改選前の下院議席数4)やティール(同10)が躍進した。二大政党に不満を持つ層の受け皿となった格好だ。二大政党の低迷傾向が続いていることから、今回の選挙でもさらに議席を伸ばす可能性がある。
左派のグリーンズと保守系のティールは、イデオロギーが異なるものの、気候変動対策では足並みを揃えている。与党が過半数を割れば、閣外協力を結んで議会運営の主導権を握ると見られる。
また、下院では議席を保持していないものの、一定の層から支持を集めるワンネーション(上院2議席)の動向も焦点となる。同紙によると、ワンネーションの選好票は、勝敗のカギを握る接戦選挙区の当落に大きな影響を与えそうだという。
■ソース
Half say Labor should go. But… (The Australian)