オーストラリア基調インフレ率、物価目標内まで下落 3年3カ月ぶりの低水準

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5月追加利下げほぼ確実に

オーストラリアの消費者物価指数(CPI)の推移。折れ線グラフの水色はCPI総合、濃紺はトリム平均値(出典:オーストラリア統計局)

 オーストラリア統計局(ABS)は30日、四半期の物価統計を発表した。これによると、今年1-3月期の消費者物価指数(CPI総合)は前期比で0.9%上昇し、前期の0.2%上昇から加速した。前年同期比では2.4%上昇と前期と変わらなかった。いずれも事前の市場予想(前期比0.8%上昇、前年同期比2.3%=米投資情報サイト「インベスティング・ドット・コム)を上回った。

 ABSによると、前期比で物価上昇が加速した主な要因としては、住居費(前期比1.7%上昇)や教育費(5.2%上昇)、食品・アルコールを除く飲料(1.2%上昇)などの値上がりが大きかった。特に住居費では、電気料金が前期比16.3%上昇と急騰した。これはブリスベンでほとんどの世帯が州政府の電気料金補助金(1世帯当たり最大1,000豪ドル)を使い果たしたため、電気料金の支払いが増えたことによるものだという。

 一方、こうした極端な物価変動を除いた「トリム平均値」(基調インフレ率)は、前年同期比2.9%上昇と前期の3.3%上昇から減速。2021年10-12月期(2.7%上昇)以来、3年3カ月ぶりの低水準を記録した。

 中央銀行の豪準備銀(RBA)は金融政策を決める上で、CPI総合よりもトリム平均値を重視する。これがインフレ目標2〜3%の範囲内まで低下してきたことで、以前から既定路線となっていた5月19〜20日の次回会合での追加利下げはほぼ確実視されている。RBAは今年2月、4年3カ月ぶりに利下げに踏み切り、政策金利を0.25ポイント引き下げて4.10%としていたが、4月の会合では据え置いていた。

 オーストラリアのCPI総合は、コロナ感染が最初に拡大した20年3-6月期に前年同期比で0.3%下落して底を打った(グラフ参照)。その後、経済再開や世界的な供給制約、ロシアによるウクライナ侵攻による商品価格の高騰などを背景に急上昇。22年10-12月期(7.8%上昇)にピークアウトした。23年以降は低下傾向が続いている。

 RBAによる激しい金融引き締めが奏功した形だが、折からのインフレと高金利のダブルパンチが国民生活に打撃を与えていた。このため、5月3日投票の連邦選挙戦では、生活支援や安価なエネルギー供給、購入しやすい住宅建設といった物価対策が、与野党の主な争点となっている。

 インフレ目標の達成は、2期目の続投を目指すアンソニー・アルバニージー首相の労働党政権にとって、経済運営の成果をアピールする上で追い風となる可能性がある。

■ソース

CPI rises 0.9% in the March 2025 quarter, Media Release (ABS)

Australia CPI rises above forecast in Q1; core measure hits RBA target (Investing.com)

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