2期目の続投決める

オーストラリア連邦選挙(任期3年の下院の全議席と任期6年の上院の約半数を改選)は3日、各地で投票が行われた。公共放送ABC(電子版)は東部標準時の午後9時前、アンソニー・アルバニージー首相の与党労働党(中道左派)が勝利したと報じた。最大野党・保守連合(自由党、国民党=中道右派)は、ピーター・ダットン代表(自由党党首)が自身の選挙区で議席を失う屈辱的な敗北を喫した。
ABCの分析によると、午後9時20分(開票率30.7%)時点で、定数150(選挙区割りの改定により前回選挙の151から1減)の下院で当選確実となった各党の議席数は次の通り。労働党は過半数(76議席)を超える77議席。保守連合は33議席、左派の環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)は3議席、再エネ事業家のファンドから資金援助を受ける保守系無所属のグループ「ティール」を含むその他の勢力は11議席。未確定は26議席となっている。
労働党は前回2022年選挙で9年ぶりに政権を奪回し、2期目の再選を目指した。オーストラリアで現職首相が2選を果たすのは、ジョン・ハワード首相(保守連合)が4期目の再選を果たした2004年選挙以来21年ぶり。保守連合は戦後初となる2期目の政権交代を目指したがかなわなかった。
選挙戦では、近年の激しいインフレや高金利による生活コスト高騰への対策、エネルギー政策、住宅問題などが主な争点となった。労働党は所得税減税、一般開業医の無料診察の拡大といった医療費削減、初めて住宅を購入する人専用の住宅建設などを掲げた。一方、保守連合は1年間限定のガソリン減税、将来の原発解禁と当面のガス料金引き下げなどを公約した。
加えて、選挙戦のタイミングは、いわゆる「トランプ減税」を背景とした景気への懸念と重なった。労働党はダットン自由党党首の政策や政治姿勢をドナルド・トランプ米大統領と重ねて批判した。こうした与党のネガティブキャンペーンが奏功した可能性がある。トランプ要因も選挙結果を左右する要因の1つになったと見られる。
改選前の下院の議席数は、労働党が過半数をわずか1議席上回っているに過ぎなかった。当初は世論調査結果から接戦が予測されたことから、いずれの勢力も過半数に届かない「ハング・パーラメント」となる可能性も高いと見られた。しかし、選挙戦が終盤に差し掛かるにつれ、保守連合は支持率を落とした。
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