法定賃金、直近のインフレ率2.4%上回る水準へ

オーストラリアのジム・チャーマーズ連邦財務相は、法定賃金の決定について独立した権限を持つ労使調停機関「公正労働委員会」(FWC)への意見書で、今年7月1日以降の賃金をインフレ率より高い水準に引き上げるよう要望した。16日に発表した声明で明らかにした。
先の連邦選挙では物価高対策が主な争点となり、与党労働党が一方的な勝利を収めた。産業・職種別労使協定「アウォード」の賃金や、法定最低賃金で働く低所得層を念頭に、チャーマーズ財務相は「物価高による打撃を和らげる賃上げを支持する」と強調した。
財務相は法定賃金の引き上げ幅を数字で明示しなかった。ただ、直近1-3月四半期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比で2.4%だったことから、少なくともこの水準を上回る賃上げを想定しているもようだ。
なお、オーストラリア統計局(ABS)が14日発表した統計によると、1-3月期の賃金物価指数(WPI)は前年同期比で3.4%上昇(季節調整済み)し、引き続きCPI上昇率を超えた。賃金上昇と物価上昇の差である「実質賃金」(日本の計算方法と異なる)が、引き続き拡大していることが明らかになっている。
■ソース
Backing a wage rise for low‑paid workers(The Hon Dr Jim Chalmers MP, Treasurer)