通常の北上ルートを逆行して南下 極度に体力消耗か

できるだけ早い救援が求められている。オーストラリアの公共放送ABC(電子版)によると、ロープが身体に絡まって苦しんでいるザトウクジラ1頭が今週末、東部シドニー沖で発見された。しかし、ロープを切り離す作業がうまくいかないまま海況が悪化。行方が分からなくなっている。
報道によると、この個体が最初に見つかったのは7日。ロープが左の胸びれに絡み付いていて、約20メートル後ろにブイを引きずって泳いでいた。推定体重20トンのザトウクジラの成体で、性別は不明。レスキュー隊がこの日、ロープを切り離そうと船で近づいたが、作業は成功しなかった。
最後に目撃されたのは8日午後2時ごろ。折からの強風で、船から安全に救助作業ができる状態ではなかった。シドニー湾口の南側にあるサウスヘッド付近を南へ泳いでいたが、その後消息を絶った。9日には、シドニー南方のウロンゴンまたはポート・ケンブラ付近まで南下していると見られている。
クジラはこの時期、南極海からオーストラリア東海岸沿岸を北上し、繁殖のため温かい海域に向かう。ところが、この個体は南へ向かっていた。このため、専門家によると、絡み付いたロープによって体力を著しく消耗し、故郷の南極海に戻ろうとしている可能性もあるという。
■ソース
Humpback whale entangled in rope, trailing a buoy spotted south off Sydney Harbour(ABC News)