「イラン核開発は世界の平和に対する脅威」

米軍がイランの核開発施設3カ所を爆撃したことについて、オーストラリア連邦外務省は22日、声明を発表した。公共放送ABC(電子版)によると、声明の内容は次の通り。
「オーストラリア政府は、イランの核および弾道ミサイル開発計画が国際的な平和と安全保障への脅威であることを一貫して明確にしてきた。米大統領が『今こそ平和の時だ』と述べた発言を重く受け止めている。地域の治安情勢は極めて不安定な状態にあり、引き続き緊張の緩和と対話、そして外交的解決を強く求めていく」
また、スコット・モリソン前首相(政界引退)はABCに対して「(トランプ氏は)この行動に性急に踏み切ったわけではない。他のあらゆる選択肢を使い尽くした上で、残された唯一の手段がこれだった。必要であればその道を取るという意図は、かねてより明確にしていた。まさにその通りのことを実行しただけだ」と述べ、米軍の爆撃を擁護した。
その上で前首相は「わが国にとって最も緊密な同盟国(米国)が取った行動について、その文脈を踏まえて明確な立場を示し、支持の意を表明することが、今まさに重要だ」と語り、アルバニージー政権に米国への支持を表明するよう求めた。
イランはイスラエル領内に報復攻撃
一方、ABCは午後2時50分ごろ、イランが最大40発の巡航ミサイルをイスラエル領内に発射したと伝えた。巡航ミサイルはイランから約10分でイスラエルに到達するという。
テルアビブ市内のホテルのシェルターに避難したABCのマット・ドラン中東特派員は「シェルター内から迎撃の音が数回聞こえた」と伝えた。イスラエルのメディアによると、少なくとも数発が迎撃を逃れ、着弾したという。
なお、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は22日午後3時の時点で、米軍の爆撃に関する声明の発表や会見を行っていない。
アングロサクソン陣営の一角を占めるオーストラリアは、米国に最も近い同盟国の1つ。第2次世界大戦や朝鮮、ベトナム、イラク、アフガニスタンなど過去の米国が参戦したほとんどの戦争に兵を送ってきた歴史がある。
米国によるイラン領内への直接攻撃は今回が初めて。イランがイスラエルだけではなく、米軍の基地や米国の権益にも報復攻撃に踏み切るかどうかは現時点で不明。仮に全面的な交戦という最悪の事態に発展した場合、オーストラリアが参戦を求められる事態も想定される。
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