クレジットカードの手数料がタダになったらどうなるの? オーストラリアで撤廃の動き

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事業者向けは上限設ける方針

 オーストラリアの中央銀行・豪準備銀(RBA)は、クレジットカードやデビットカード、エフトポス(eftpos=銀行口座と連動して支払いと同時に口座から現金が引き落とされる決済ネットワーク)の消費者向け手数料を撤廃する方針だ。このほど発表した報告書の中で、手数料廃止は公共の利益に資するとの考えを示した。銀行などの金融サービス事業者がカード会社に支払う仲介手数料にも上限を設けたいとしている。

 RBAによると、オーストラリアの消費者は年間12億豪ドル(約1,150億円)のカード手数料を支払っているという。キャッシュレス化が進んでいることから、消費者はカード手数料の支払いを避けられなくなっている。ほんの数パーセントでも年間の負担は無視できない。RBAは「手数料の撤廃によってカード決済はより簡素になり、透明性が増す」と主張。カード決済システム市場の競争拡大も期待できるとしている。

 金融サービス事業者も、年間12億豪ドルの仲介手数料を負担している。その費用は小売・サービス業者に転嫁されることから、一定の上限を設けて規制することで「約9割の国内事業者の収益が向上する」との試算を示した。とりわけ小規模事業者の恩恵が大きいと指摘している。

 RBAはカード手数料改革案について、パブリックコメントを8月26日まで受け付けている。その反応を踏まえて、年内をめどに具体的な内容と実施に向けた日程を発表する予定だ。

 公共放送ABC(電子版)によると、金融サービス比較サイト「キャンスター」のサリー・ティンダル調査部長は「事業者がただちに電子商取引の手数料を支払わなくてもよくなるわけではないが、RBAは負担を著しく減らすことを望んでいる」と述べた。

 改革が実現すれば、消費者の負担は確かに軽くなりそうだ。ただ、その分、カード会社の収益が減るため、クレジットカードのポイントプログラムが縮小する可能性もあるという。同調査部長は「クレジットカード保持者は、(空港の)ラウンジを利用できたり、ポイントを稼いで無料航空券を入手できたりといった特典の恩恵を受けている。しかし、それらは仲介手数料収入でまかなわれている」と指摘した。

■ソース

Review of Merchant Card Payment Costs and Surcharging(RBA)

Could a surcharge ban hit credit card rewards programs?(ABC News)

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