いずれも1回限りまたは一時的措置
3月29日発表のスコット・モリソン連邦政府予算案では、国民の生計費急騰を埋め合わせる措置として$250の一時金支払いまたは$420減税の措置が組み込まれているが、いずれも1回または一時的措置であり、その後、実質賃金の停滞も予想され、燃料税減額も6か月間の措置とあって、自動車燃料価格高騰が諸物価高騰となって生活費を圧迫することは避けられない。
また、2024年7月には大型減税が依然として予定に入っているが、これは永久的な減税であり、かつ、対象は高額所得者に絞られている。そのため、長期的に政策の利益を受けるのは高額所得者ということになる。
4月に入って支払われる$250の一時金対象となるのは、年金、福祉金など多岐にわたる制度で政府から金を受け取っている600万人が対象で自動的に振り込まれる。また、この$250は非課税扱いのため、確定申告時に所得に含める必要はない。
また、$420の生計費減税は、現政府が従来のLow and Middle Income Tax Offset (LMITO)を段階的に廃止することを決定しており、その最終年度に全員に$420を支払うというもの。LMITOは2019年に臨時措置として導入され、年収$126,001未満の所得者を対象に課税所得額に応じて$255から$1,080の減税を行うものだった。
来年度からはこのLMITOがないため、何百万人もの国民にとっては$255から$1,080の減税措置が取り払われ、税負担が2019年以前に戻るため、生活費予算の修正に迫られる。
一方で、3段階に分けて実施されてきた減税の最終段階、高額所得者減税が2024年7月1日より実施される。これは過去の低所得者、中所得者減税よりはるかに大きな規模になり、まず、45%税率等級が$180,001から$200,001に引き上げられ、37%限界税率は廃止され、32.5%限界税率が30%に引き下げられることから、年収$45,001から$200,000までの所得の限界税率はすべて30%に抑えられることになる。
モリソン政権は、「この変更で2024/25年度より、納税者の95%は限界税率が30%を超えることはなくなる」としているが、この変更の恩恵を受けるのは最高所得額者であり、年所得$200,000を超える場合には年間$9,075の減税を永久に受けられることになる。この所得水準に該当するのは企業CEOや連邦政治家、外科医などごく少数に限られている。また、連邦労働党も、政権を取った場合にこの税制変更を守るとしている。
一方、年所得$45,000未満では何の減税も受けられず、中所得者もごくかすかな減税しか受けられない。
■ソース
Who gets the $250 payment and who’s eligible for the $420 tax offset in the budget?