結婚してなくても取れる!? オーストラリアのパートナー・ビザ / 豪州ビザ・法律最新事情

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 グローバル化やSNSの普及、海外生活への関心の高まりなどさまざまな要因により、近年ますます異なる国籍を持つカップルが増えてきました。そこで、今回はパートナー・ビザについてお話したいと思います。

 オーストラリア市民、永住者、もしくは特定のニュージーランド市民と婚姻またはデファクト関係にある場合、諸条件を満たすことでパートナー・ビザ(Subclass 820/801(国内申請)または309/100(国外申請))の申請が可能になります。「パートナー」の定義には婚姻関係ならびにディファクト(内縁)関係も認められるため、必ずしも婚姻関係にある必要はありません。

 デファクト関係とは、法律上の結婚はしていないが、実質的に夫婦同然の関係にあることを指すため、「彼氏と彼女」の関係とは異なります。デファクト関係にある場合、ビザ申請日からさかのぼって12カ月以上デファクト関係が継続していることが条件になりますが、州政府に対して2人の関係を登録している場合には、12カ月以下のデファクト関係であってもビザ申請は可能とされています。

 審査官は提出される情報及び書類からのみ2人の関係が本物で継続的な関係かを判断することになります。基本的に以下の項目に沿って審査されますが、関係を示す書類はあればあるほど可能性は高くなるので、全ての項目をバランス良くカバーできる証明を準備することが重要です。

・History of your relationship(2人の関係性) 
最初の出会いから現在に至るまで、2人の関係がどのように発展していったのか法廷宣誓書などで説明していきます。

・Financial evidence of your relationship(経済的証明)
経済面で2人がどのようにお金を管理、共有し、生活費などを分担しているのか証明していきます(例:共同名義の銀行口座、家賃や光熱費の支払いなど)。

・The nature of the household(共同生活)
家でどのように暮らしているのか、家事や養育などの役割分担など証明していきます(例:同じ住所に住んでいる証明、家事分担、賃貸契約など)。

・Social context of the relationship(社会的関係)
家族、友人、社会から見た2人の関係が婚姻またはデファクト関係であると認識されていることを証明していきます(例:連名での招待状、家族や友人達との写真、旅の記録など)。

・ The nature of your commitment to each other(互いの意思や展望)
お互いに対する真剣な気持ち、将来の計画や意思を証明していきます(例:年金や保険の受取人である証明、遺言や保険、子どもの計画など)。

 パートナー・ビザの申請料は2025年4月現在、9,095豪ドルと決して安くありません。ビザ申請が却下される場合、条件次第で不服申立やビザの再申請を行うといったことは可能ですが、だからと言って申請料の返金はありません。1度の申請でビザの取得ができるよう慎重に準備していきましょう。

アドバイザー

清水 英樹

清水 英樹

オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営

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