ブロードビーチ・サーフ・ライフセービング・クラブ/ゴールドコースト
ゴールドコーストの職場に向かい、かつて通勤で毎朝走ったフリーウェイ、M1。ブリスベンに向かう通勤ラッシュの大混雑を尻目に、その対向車線を気持ち良く飛ばしたのも今や昔。
今回は、お世話になっている知人を早朝にブリスベン空港でお迎えして、ゴールドコーストまでお連れするタスクで朝のM1を南下。目的地までスムーズに飛ばして(もちろん法定速度内で)行けるかと思っていたが、最低2回は低速に落とさなきゃならなかった。そんな混雑の真ん中に身を置くと、街の成長を実感させられる。
ゴールドコースト到着後、荷解きを終えた知人と近くのサーフ・ライフセービング・クラブを訪れた。ビールを飲みつつ、ランチ営業の開始時刻を待つ。周りには、平日の昼間だとか気にしなくてもよい類いの人びとが卓を囲み歓談中。当地に20年以上暮らしても抜けない“昼飲み”の罪悪感、それを決行する背徳感と開放感がない交ぜになる。
たかだかビール1杯にそこまで感情を総動員しなくてもと笑われそうだが、アラフィフともなれば、そう簡単に既存の価値観をアップデートできないものだ。
全開になっているクラブの開放的な大きな窓の視線の先には、ビーチの白い砂。雲は少し多いが抜けるような青い空も目に刺さる。暦の上では秋も深まってはいるが、クイーンズランド、とりわけゴールドコーストに冬はないようなものだ。
当地より寒い南部の州か、はたまた外国から来たとおぼしき観光客は毒クラゲのブルーボトルなど恐れもせず、上着を脱ぎ波打ち際で戯れている。
そんな景色を視線の先に捉えながらの、これぞオージー的なランチとうまいビール。ささやかな幸せがそこにはある。そんなゴールドコースト的ライフスタイルも悪くはない。
植松久隆(タカ植松)
文・写真 タカ植松(植松久隆)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人