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“日本の祭りの象徴”がシドニーに渡るまでの道のり─シドニー日本クラブの会長がお神輿誘致を実現

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 9月14日、シドニー日本クラブ(JCS)が主催するイベント「Matsuri Festival in Chatswood 2024」が開催され、チャッツウッドの会場は多くの来場者でにぎわった。同イベントは、2015年から続く人気の祭りだが、今年は日本のとある地域から届いた“お神輿”の初お披露目があり、例年以上の盛り上がりを見せた。そこで今回は、祭りを主催するシドニー日本クラブの会長・渡部重信さんに話しを伺った。渡部さんは2024年元旦に大規模な地震に見舞われた能登半島出身。能登のキリコ祭りで担がれる大きなお神輿に強い思い入れがあった渡部さんが、今回のお神輿誘致にかけた思い、そしてこれからの祭りについての思いをたっぷりと語ってくれた。
(文:沼本奈々)

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――Matsuri Festival in Chatswood 2024は、お神輿の存在が大変印象に残りました。

 お神輿は今回が初めての試みになります。実はこのお神輿がシドニーに届くに至った経緯は、前会長のコステロ久恵(以下、コステロ)が日本に行った際に、たまたま商店街の人と話したことがきっかけでした。その商店街には、商店街の名称が変わる前に使っていたお神輿が1つ余っているとのことで、その「子ども神輿」を寄贈してくださったのです。

――そうだったのですね。

 千葉県の佐倉市という町です。そのお神輿には「王子台商店会」と書いてあるのですが、今は臼井王子台商店会という名前に変わっています。

――お神輿はどのように運ばれたのですか?

 臼井王子台商店会の人がこのお神輿の梱包を申し出てくださり、とても丁寧に梱包してくださいました。それを今度はJALの方々が丁寧に扱ってくださり、無事にシドニーまで到着しました。ちょうどコステロのお母さんが日本からシドニーに来るJAL便を予約していましたので、彼女の荷物として預ける際に、JALさんが普通は追加料金がかなりかかる所をコミュニティのためにと言うことで無料にして下さるよう取り計らって下さいました。JALさんには日本出発からシドニー到着まで本当にお世話になりました。

――お神輿を飛行機に乗せるというのはなかなかない体験かと思いますが、苦労したことはありましたか?

 やはり“大きさ”ですね。もちろん担ぎ棒を取り外して、それを別でまとめて梱包するのですが、一番長い担ぎ棒は規定より大きかったため断念しました。中心の部分は、飾り部分を外しいくつかに分解して、最終的には4つの段ボール箱にわけて持ってきました。飛行機に乗せるために全ての段ボール箱のサイズを測るなど、そこでも苦労しましたね。

――たくさんの人のバトンが引き継がれてシドニーまできたお神輿なんですね。今回、Matsuri Festival in Chatswood 2024でお神輿を担ぐことに対しての思いがあれば聞かせてください。

 そうですね。実はこれまで使っていたお神輿は、ダンボール箱を折りたたんで作る簡易的なものでした。そういったお神輿と比べると、やはりずっしりと重厚感があって気が引き締まります。本物のお神輿が来たということで、私たちの祭りも更に祭りらしさが増したのではないかと思います。この祭りの中心となる物がついにやって来たということで、私たちも大変うれしいです。

――これからもこのお神輿が担がれていくのでしょうか?

 そうですね。毎年行われるMatsuri Festival in Chatswoodではもちろん、12月1日にもシティで祭りを開催する予定なので、そういった機会にも使うことになると思います。

――Matsuri Festival in Chatswoodは2015年から開催されているとのことですが、これからこの祭りに期待していることを教えてください。

 やはりこの形の祭りこそが、私たちができる最大限の“祭り”の表現方法だと思っていますので、これからも続けていけたらうれしいですね。地域の方々にとっても9月の第2土曜日はMatsuri Festival in Chatswoodと定着してきており、浴衣や着物姿で来てくださる人たちがいることもうれしく思っています。加えて、日本人コミュニティーを更に盛り上げていけるような存在になれれば幸いです。ぜひ続けて開催していきたいと思っています。

――最後に、渡部さんはシドニー日本クラブで会長を務めていらっしゃいますが、今後、日本とオーストラリアの架け橋としてどのような発展を目指しているのかを伺えますか。

 オーストラリアにはいわゆる“祭り”という文化がありません。やはり日本の祭りはパーティーと違った側面があるため、そういった点で日本人コミュニティーを盛り上げる場を提供できるのはうれしいものです。オーストラリアにはいろいろなバックグラウンドの人がいます。そこで、こうしてたくさんの人が盛り上がる場を作り、時に魅力的な文化を紹介していけたら、うれしい限りです。

――ありがとうございました。





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