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旗頭/日豪フットボール新時代 第148回

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8年の豪州での経験からの自信があふれる男の姿は、さすがに絵になる(筆者撮影) 

 先日、久しぶりに知己の元フットボーラーからLINEが鳴った。元日本代表、田代有三(42)。J1鹿島アントラーズでの活躍でよく知られる田代は、現在、移住先のシドニーで生徒数220人を誇るフットボール・アカデミー「Mate FC」を運営する傍ら、日豪フットボール界をつなぐさまざまな活動に駆け回る日々を送っている。

 そんな田代とは、彼が長いJリーグでのキャリアを終え、豪州に活躍の機会を求めてやって来た8年前からの付き合い。ウーロンゴンで初めて会った時、現役選手ながらしっかりとセカンド・キャリアを見据える姿に感心させられたものだ。

 あれから8年。折に触れて連絡を取り合ってきたが、実際に会って話すのは3、4年ぶり。ブリスベンには、家族旅行で来たというのに、わざわざ連絡をくれる彼の律儀さが実現させたキャッチアップは、彼の宿泊先のホテルでブレックファーストをつまみながら2時間近くに及んだ。

 8年前、ウーロンゴンの地で語ったのとは「少し方向性は違っても、確実に成長している」と本人が語るように、永住権を手にしてからのセカンド・キャリアでの彼の活躍には目を見張るものがある。彼の今の活躍を見ると、言霊、1度口にしたことはパワーを持ち、そこに確信と自信とモチベーションといったさまざまな要素が絡めば、夢は必ず形にできるのだと思い知らされる。

 しかも、田代という男は、ことさらに自分をアピールすることはしない。「いや、タカさん僕なんていいんですよ。夢を持ち、今まさにそれを実現しようとしている仲間が他にもたくさんいるので……」と、彼を慕い、その背中を追うフットボール界隈の人びとをしっかりとケアする。それが、田代有三の漢気だ。

 話は、お互いの近況報告、情報交換から、日豪両国のフットボール界の更なる交流の促進など多岐にわたった。2時間はあっという間に過ぎていった。別れ際には、見目麗しい奥様と3人のお子さんたちまで紹介してくれた。田代がこの地で築き守ってきた”家族”を見て、彼がこの8年でいかにこの地にしっかり根付いてきたかの覚悟と結果をしっかりと可視化することができた。彼のこの国でのこれまでとこれからの生き様こそが、日系フットボール・コミュニティーがこの多文化共生社会にしっかりと根付き、育っていることの生き証人となる。  田代有三、彼こそが加速度的に拡大している真の“日豪フットボール新時代”を切り拓いていく旗頭になるはずだ。いや、ならねばなるまい。迷わず進んで欲しい。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター、コラムニスト。タカの呟き「10月15日の日豪戦。コロナ禍で全ての日豪戦を現地観戦するポリシーが途絶え、今回も◯十歳の誕生日を家族と祝うイベントで現地には飛べなかった。試合は、お互いオウンゴール献上というなかなか見ない展開のドロー。来年6月の対戦は、たとえ何があろうとも現地観戦がマストだ」





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