QLDバレエ団
合々香と弘平のグランパドドゥ 第7回
ロックダウンとバレエ・ダンサー
バレエを踊ることが仕事の僕たちバレエ・ダンサーも、ロックダウン中は皆さんと同じように自宅で仕事をしていました。普段のバレエ・ダンサーの仕事は、スタジオで次の公演に向けてのリハーサルに明け暮れることがほとんどですが、公演の目途が立たなかった昨年はいつもと様子が全く異なりました。
幸いQLD州は7月中旬でロックダウンが解除され、僕たちは4カ月ほどでスタジオに戻ることができました。それでも、長期休暇以外は常に体を動かしている僕らにとって4カ月もの間、自宅の狭いスペースで体力やテクニックを維持するのはとても大変でした。
毎朝、オンラインでバレエ・クラス、コンディショニング・クラス、テクニック・クラスなどが実施され、バレエ団は自宅で練習しやすいように約1メートル四方のリノリウムや移動式バーを用意してくれました。
その後、「60dancers 60stories」というプロジェクトが始まり、各ダンサーが振付した短い作品を1カ月にわたって毎日SNSにアップし続けました。自宅のベランダで踊るダンサーや、ビーチや広い公園で踊るダンサーなど、さまざまな工夫を凝らした作品が創られ、ロックダウン解除後には60作品の中から厳選された作品が実際に舞台上で公演されました。私は個人的にも、インスタグラムで自宅の狭いスペースで踊っている動画を上げたりしながら、少しでも楽しく過ごせるように日々努力していました。
今後もどんな未来が待っているかは誰にも予測できませんが、バレエを始めとした芸術が、皆さんの人生を支える大切な友になりますように。
このコラムの著者
岩本弘平/QLDバレエ団シニア・ソリスト
兵庫県伊丹市出身。11歳からバレエを始め、18歳でメルボルンのオーストラリアン・バレエ・スクールに入学。その後、ロイヤルNZバレエ団を経て、2018年にQLDバレエ団に移籍。趣味はウクレレ、スポーツ観戦、睡眠、日本のお笑い。祖母の手作り水餃子の味を懐かしみながら、大好きなウィスキーのグラスを傾ける。