第18回犬の年齢の数え方
先日、面白いニュースを見かけた。犬の年齢は、1年に7をかけて計算するとこれまで一般的に言われていたが、実は違うという研究論文が発表されたのだ。
一般的に使われていた計算方法だと、犬は1年で7歳になり、2年で14歳、10年で70歳になる。おそらく人間の寿命と犬の寿命を照らし合わせてみたところ、単純に7をかけると丁度いいということで使用されてきたのだろう。
ところがアメリカのカリフォルニア大学の研究者たちが104匹のラブラドール・レトリーバーの「エピジェネティックな時計」とも呼ばれる遺伝子ゲノムDNAのメチル化、つまり老化の進み具合を調べて320人のヒトと比較したところ、犬は最初の1、2年で急激に成長し、その後ゆるやかに老化していくことが分かったそうだ。犬は生後7週間にはヒトの9カ月程度に成長し、最初の1年でヒトの31歳と同等になり、2年では42歳、3年では49歳、4年では53歳、5年では57歳、そして10年で68歳、13歳では72歳に相当する年齢に達するらしい。
ということは、うちのスパーキーは現在3歳なので、ヒトの年齢に換算すると49歳で、もう私の年齢を超えていることになる。どうりで、どれほど破壊王と呼ばれるやんちゃなボーダーコリーの子犬も、2歳になれば落ち着くと言われるわけである。わずか2歳で、もうとっくに40代の中年おじさんになっていたのだ。
この研究はラブラドールの血液のみをサンプルとして使用しているため、違う犬種では異なる結果が出る可能性があるそうだ。それでも、WHOによると人間の平均寿命は2016年の統計で72歳なので、犬の平均寿命である10~13歳が人間の68~73歳に相当するとなると、なかなか説得力のある結果のように思う。
スパーキーと私も40代の中年同士ということで、互いを労わり合いながら、2020年も穏やかに暮らしていきたいものである。
参考文献:biorxiv.org/content/10.1101/829192v1.full
newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13463.php
ランス陽子
フォトグラファー/ライター、博士(美術)。数年前にシェットランド・シープ・ドッグの2頭が亡くなり、現在はオーストラリアで古くから牧羊犬として愛されているボーダー・コリーのスパーキーとゴールドコーストで暮らす。
Web: www.yokolance.com.au