シドニー日本人国際学校 キンディーの魅力とは?
シドニ―日本人国際学校(以下、SJIS)は、日本人学校でありながらキンディー・クラスでは国際学級を設置し、NSWの義務教育と日本語教育が同時に受けられる環境が整っている。SJISの更なる特徴と魅力について、実際に通う藤原ファミリー、竹島ファミリー、ハンセン・ファミリーの3家族に話を伺った。
◆藤原ファミリ―
日本人の父、母、姉、妹の4人家族。子どもはシンガポールで生まれ育ち、その後シドニーに移住。
◆竹島ファミリ―
日本人の父、母、兄、姉、杏菜ちゃんの5人家族で、子どもはシドニーで生まれ育ち、現在に至る。
◆ハンセン・ファミリ―
オーストラリア人の父、日本人の母、オースティン君の3人家族。子どもはアメリカで生まれ育ち、その後シドニーに移住。
━━お子さんをキンディーに通わせるに当たり、学校の雰囲気や環境、カリキュラムなど考慮すべき要素はいくつもあると思いますが、最終的にSJISへの入学を決めた理由をお聞かせください。
藤原ファミリー(以下、藤原)「実は元々インターナショナル・スクールへ通っており、今回もインターナショナル・スクールに通わせようと思っておりました。姉を日本人学校に通わせる予定でしたので、やはり妹も一緒の学校が良いと考えたのがきっかけで、SJISのキンディーにしました」
竹島ファミリー(以下、竹島)「うちの場合は、息子と娘がSJISでお世話になったこともあり、2人から強い推薦がありました。また、SJISのオープン・デーに参加した際に、学校がとてもアットホームであることに加え、子どもたちの英語力、日本語力、どちらもしっかりと習得させる方針に共感しました。息子と娘がお世話になった先生方も覚えていてくださり、温かく迎えてくださったのも理由の1つです」
━━ハンセンさんは2学期の半ばに編入されたと伺っています。
ハンセン・ファミリー(以下、ハンセン)「そうなんです。以前は週末の補習校に通いながらローカルの学校に通学していましたが、SJISのキンディーは、ローカル校同様に英語で授業を行っているのと、毎日45分間日本語の授業があります。また、1つのクラスで日本語と英語が共存し、それぞれの言語を学びながら学校生活を送っており、理想的な環境だと思ったからです。このような学校は、シドニーではここだけですので、1年生を待たずに編入を決めました」
━━キンディ―とは言ってもしっかりとカリキュラムが組まれており、英語に重点が置かれた環境に魅力を感じたわけですね。入学・編入に向けて日頃から心掛けていたこと、継続していることはありますか。
ハンセン「家庭でのルールとして、私は日本語で、夫は英語で話し掛けることからスタートしました。乳児期から3歳ごろまでは週に3回ほど日本人のプレイ・グループに参加し、2歳からは現地の幼児日本語クラスに週1回通っていました。日本語の歌や手遊びを習ったり、日本の季節や文化行事にちなんだ体験を親子で楽しみました。4歳時には、日本人の経営する幼稚園に入園しましたが、水泳などの習い事は英語の環境にすることで、オーストラリア人のお友達もでき、英語の上達につながりました。今でも英語、日本語の本の読み聞かせは毎日行っています。『日本語を浴びせるように聞かせる、日本語を話せと強要しない、本好きにする』をモットーに日本語が生活の一部になるような環境づくりを心掛けています」
竹島「私たちの子も入学前は2年間現地のプレ・スクールに通って、現地の友達とのプレイ・デートなどに積極的に参加するようにしました。自宅では必ず日本語で話し、日本語のプレイ・グループにも参加するようにしていました。また日本の文化を教えるため、節分やひな祭りなどの際には家でお祝いをし、日本に住んでいる祖父母や従兄弟、帰国したお友達と頻繁に連絡を取るようにしています。今でも時間がある時や寝る前に日本語と英語の絵本を読むことを習慣にしています」
藤原「やはり皆さん同じなのですね。うちも日本語と英語の本の読み聞かせを行っています」
━━やはり日本語と英語の両方の習得が目指すところですね。事前準備をしている中で不安だったことはありますか。
藤原「他国から移り住んできて間もなくの入学だったので、入学当初はお友達ができるかが一番心配でした。でも学校の授業が楽しいみたいで自然と友だちもできてあっという間に慣れてくれました」
竹島「子どもってすごいですよね。うちは、学校が少し遠く30~40分ほど掛けてのバス通学となったので、体力面や宿題をきちんとこなせるかが心配でしたが、同じバス停に上級生のお兄さん、お姉さんがいて、本当によく面倒を見てくれました。宿題に関しても先生方が様子を見ながら調整してくれたので無理なくこなすことができました」
ハンセン「先生方が親切なのもSJISの良いところですよね。編入だったので、学校に慣れることができるか不安でしたが、アットホームな雰囲気で担任の先生はもちろん、他のクラスの先生方も息子に声掛けしてくださるなど、学校の雰囲気がとても良いです。お友達も優しく、初日から一緒に遊ぼうと誘ってくれたみたいで安心しました」
━━子どもたちの環境への順応能力には目を見張るものがありますよね。英語力の成長、そして日本語と英語の両立についてはいかがですか。
藤原「授業や歌の発表会などのイベントを通して日本語も英語も楽しく学べているようなので、満足しています。特にライティングのスピードが速くなったように感じます。親としても発表会で子どもの成長した姿を見られるのを毎回とても楽しみにしています」
竹島「本当にそうですよね。スクール・コンサートなどで友だちと楽しく歌っている姿を見るとてもうれしくなります。シャイな性格で、外では積極的に話さないのですが、それでも学校で習った言葉、言い回しを話す機会がとても増えました。学校で習った言葉をそのまま話そうとしているところに成果を感じます。また、語学以外にも学校の様子を詳しく教えてくれたり、身の回りのことを自分でするようになったりと日々成長を感じています」
ハンセン「英語も日本語も相対的に伸びていますね。クラスの中で、時々通訳として、日本語や英語でお友達に説明する機会があるそうで、それが彼の自信にもつながっているようです。クロスカントリーのイベントでは放課後に広い校庭を走りながら、当日までお友達とルートを確認していました。また、日本語発表会で披露された『おむすびころりん』では、おじいさん役を演じたのですが、今でも歌いながらおじいさん役をしています」
━━ユニークな授業や学校行事がお子さんの学習意欲を促進しているわけですね。日本の文化を同時に学べるのも現地校との違いでしょうか。
藤原「そうですね。日本らしい行事や心遣いを普段の授業の中で知ることができるのはSJISならではです」
ハンセン「SJISはバイリンガル教育に力を入れている学校です。日本語と英語が飛び交う中、児童、生徒たちは、両言語を上手に使い分けながら生活しています。このような環境は、現地校にはありません。日本人学校では、英語能力が伸びないのではと心配される方もいると思いますが、教育熱心な先生方が丁寧に指導してくださいますし、さまざまな国籍の児童、生徒がおり、中には3言語を話す子どももいるなど、とてもインターナショナルな環境です」
竹島「その通りだと思います。SJISに通っているご家庭は、子どもの教育、特にバイリンガル教育に対してとても熱心な方が多いと思います。保護者同士でも情報を交換したりなど、とても有意義な時間を過ごしています。日本や日本の文化に興味があるご家庭が多く、刺激を受けています」
━━最後に、学校選びに悩まれているご家庭に、アドバイスをお願いします。
竹島「まずは、オープン・デーに参加することが大事だと思います。SJISの英語教育のレベルが非常に高いことが実感できます。子どもの教育、特にバイリンガル教育には、父親、母親双方の深いコミットメントが必要だと思っています。各家庭での教育への価値観はさまざまだと思いますので、子どもの性格、適性を考え、に何に重点を置くべきかを夫婦でよく話し合い、夫婦双方が納得する方法を見つけることが一番大切だと思います」
ハンセン「SJISに編入するまで、私たちもとても悩みました。学校選びに答えはありません。各ご家庭で何がベストかを話し合い、子どもの将来を見据えた上で、学校選びをなさると良いと思います。SJISに見学に来た際、編入学の必要はないと言っていた夫が「ここ(SJIS)しかない!」と即決したのを今でも覚えています。百聞は一見に如かずなので、オープン・デーや見学に来ることをお勧めします」