ペット
Q
初めて子犬を飼うことになりました。予防接種など何が必要で、いつ病院に連れて行けばいいのか教えてください。(30代男性=会社員)
A
子犬に必要なのは予防接種、寄生虫の予防(内部:フィラリアと腸内寄生虫、外部:ノミとダニ)、そして6カ月を過ぎたら避妊/去勢手術です。
予防接種(Vaccination)
子犬の予防接種は、母乳から受け取った抗体がなくなる6~8週齢から始め、その後、4週おきに、最低でも計3回は受ける必要があります。ほとんどの子犬は、1回目のワクチンを受けてから新しい飼い主に渡されるので、最初に病院に連れて行くのは2回目のワクチンの時、大体10~12週齢くらいの時となります。
オーストラリアで犬に受けさせるワクチンは、致死率の高い3つのウィルスを含む3種混合に加え、感染力の高いケンネルコフの病原体2種を合わせた、5種混合が基本となります。
3種混合ワクチン
■犬パルボウィルス(Parvoirus):出血性の腸炎を起こします。
■ジステンパー(Distemper):発熱や下痢に加え、神経症状も伴う死亡率の高い病気です。
■伝染性肝炎(Adenovirus):発熱や意気消沈が見られ、重症化すると肝機能障害を起こします。
ケンネルコフ(Kennel Cough)のワクチン
ひどい咳が出る伝染性気管支炎です。単一の病原体によるものではなく、いくつものウイルスや細菌などが複合して病気を起こします。その中でワクチンがあるのはボルダテラという細菌と、パラインフルエンザ・ウィルスの2種類です。
寄生虫(Parasites)
予防する必要のある寄生虫は以下の4種類です。
■フィラリア(Heartworm):蚊によって媒介され、心臓に寄生し、心不全を起こす寄生虫です。日本では蚊が飛ばない冬の間は予防を中断することもあるようですが、オーストラリアでは年間を通じて予防します。
■腸内寄生虫(Intestinal parasite):回虫や鉤虫(こうちゅう)など、腸の粘膜に寄生し、栄養分を吸い取っていく寄生虫です。免疫の弱い子犬では2~4週間おきに虫下しをやったほうがいいでしょう。6カ月を過ぎれば成犬と同じで3カ月おきで大丈夫です。
■ノミ(Fleas):毛皮の中を素早く動き回り、皮膚から血を吸う寄生虫です。体の小さい子犬はノミがたくさん付くと皮膚の痒みだけでなく、血を吸われすぎて貧血を起こすこともあります。
■ダニ(Ticks):皮膚の1カ所に食い込むようにして血を吸う寄生虫です。オーストラリアの東海岸に生息する毒ダニは、1匹でも付くと麻痺を起こし、呼吸困難や心不全で死んでしまうことがあります。
最近では月に1回与えるだけで、内部寄生虫と外部寄生虫を同時に予防してくれる薬があるので、子犬の飼い主の手間も大幅に楽になりました。予防薬は8週齢以降から安全に使えます。
避妊/去勢手術(Desexing)
望まない繁殖や生殖器官の病気を避けるため、犬は6カ月を過ぎたころから避妊/去勢手術をすることを勧めています。
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戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic
シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。