学生ビザ保持者の現状
オーストラリア国内にいる外国人でコロナ禍の影響を大きく受けたのが、ワーキングホリデー・ビザ、学生ビザ保持者でしょう。特に一番大変であった学生ビザの方々には残念ながらこれといった便宜が図られるということがなかったというのが実際のようです。そのため、申請方法並びに申請条件はこれまで通り変更はありません。
今現在、海外からオーストラリアへの入国制限がオーストラリア市民・永住者などを除いて解除されておらず、学生ビザを含む一時滞在ビザ保持者は余程の理由がない限り、オーストラリアに入国できない状況にあります。
オーストラリア国外にいらっしゃる方については、学生ビザの申請自体は可能であっても、入国制限が解除されないため、実際のところ国外待機を余儀なくされているというのが現状です。当初、南オーストラリア州への留学生に限定し、シンガポールから300人のみ学生を試験的に入国させる計画がありましたが、最終的な承認が得られておらず、そのまま中断になってしまいました。
それに先駆け、ノーザンテリトリー北部準州において10月末を目途にシンガポールから70人の留学生のみ試験的に入国させると発表されています。また、2021年初めごろからニューサウスウェールズ州への留学生については入国を再開させる計画であるとも言われています。
一方、オーストラリア国内に留まる学生については、学生ビザ申請の審査が比較的緩やかになっているように感じます。オーストラリアの留学産業は昨年まで約400億豪ドルの経済価値があり、オーストラリアにとっては重要な輸出産業の1つとして位置付けられています。新型コロナウイルスの影響は深刻であり、入国制限が発せられている以上、オーストラリア国内の留学生に対しては逆に寛大なのかもしれません。
学生ビザの申請方法
新型コロナウイルスの影響による学生ビザ申請方法の変更は特にありません。入学日が延期されたり、コース自体の開講を見合わせる、または当面オンラインでの就学といったこともあり得ますので、事前に十分確認した上で手続きを進められると良いでしょう。国内申請の場合は、現在保持するビザの有効期限が切れる前までに学生ビザの申請を完了しないと不法滞在になってしまいますので、その点はご注意ください。
学生ビザ申請の流れ
1. 学校、就学コースを決めて入学手続きを行う
2. 学校が発行するCoE – Confirmation of Enrolmentを入手
3. 移民局の専用サイトからオンラインで学生ビザ申請
4. 学生ビザ申請後、国内申請の場合は判断が下りるまでの間ブリッジング・ビザで滞在
学生ビザの特別措置
コロナ禍の影響に対する学生ビザに関連する特別措置は以下があります。
(1)入国制限が解除され次第、ただちに留学生が入国できるよう国外からの学生ビザ申請の審査を再開
(2)20年2月1日の時点で学生ビザを保持していた学生で、以下が該当する場合において、学校の承認を得た上で学生ビザ再申請時のビザ申請料は無料とする
· 入国制限により、オーストラリアに入国することができず休学を余儀なくされた場合
· フルタイムではなくパート・タイムでの就学を余儀なくされた学生
· カリキュラムに含まれる実地研修(Work- based training and/or placements)を終了することができなかった学生
(3)以下の状況にある場合に限り、学生ビザのコンディションに違反していると見なさないこととする
· 学校承認による休学
· オンライン学習
(4)以下の状況にある場合に限り、2週間で40時間以上の就労を一時的に認めるものとする
· 看護学部や薬学部など医療関連の就学をしており、かつ医療関連の就労をしている場合で、雇用主から新型コロナウイルス対策としての勤務を依頼された場合
· 20年9月8日以前に、認可のある老人介護施設に雇用されている場合
· 20年4月23日以前に、認可のある障碍者施設に雇用されている場合
(5)卒業ビザ申請を検討する場合、新型コロナウイルスの影響による入国制限によってオーストラリア国外でオンライン学習を余儀なくされた場合はその間の就学も“The Australian Study Requirement(オーストラリア就学条件)”としてカウントできることとする
(6)入国制限によってオーストラリアに入国できていない学生に対し、全ての申請条件を満たしている場合に限り、オーストラリア国外から卒業ビザの申請を可能とする
(7)卒業ビザ申請前までに英語テストを受けることができない学生に対し、猶予期間を設けることとする
コロナ禍による学校側の変化
新型コロナウイルスによるオーストラリアへの経済的影響は深刻で、感染者の軽減や予防対策と並行していち早い経済復興を目指してさまざまな検討がされています。ビザ申請の観点からいうと、医療関連産業、農業など第一次産業、テクノロジー産業に従事する人材が今のオーストラリアに必要であり、優遇される傾向にあるため、今後これらに関連するコースに注目が集まっていくかもしれません。
現時点で、特別に学費等で安くなったということは聞きませんが、留学生が来られなかったことにより打撃を受けた学校側としては、そのダメージ回復のために、さまざまな方法で生徒集めをしてくるかもしれません。
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