ビザ
Q
2017年3月、Cook職として457ビザを取得しました。今後、ENS(Employer Nomination Scheme)ビザでの申請は可能でしょうか。(30歳男性=飲食店勤務)
A
2018年3月18日よりENS(サブクラス186)ビザの申請可能職種が大きく制限され、Chef職でないCook職でのビザ申請はできなくなりました。ただし、下記に該当する場合、現在でもCook職でENSビザ申請が可能です。
- 17年4月17日時点で457ビザを保有していた場合
- 17年4月17日以前に457ビザの申請を行い、その後発給を受けた場合
- 上記いずれかの条件を満たし、かつその後、482ビザに更新した場合
従って、下記の要件を満たせる場合、相談者はENSビザの申請が可能です。
Nomination申請前の就労期間
「Temporary Residence Transition(TRT)stream」でENSビザを申請の場合、現在は457/482ビザ取得後、スポンサーの下で3年間就労が必要です。しかし上記カテゴリーのいずれかに属する人は、2年間の就労後に申請資格が得られます。なお、無給での休暇期間は就労期間には含まれません。
年齢
457/482ビザを有し、一定額以上の給与を3年間受け取った場合の例外規定などもありますが、主たる申請者は原則として、ビザの申請時点で45歳未満であることが求められます。
英語試験
ビザの申請書提出前の試験で必要点数の獲得(IELTSの場合は各科目6以上)が必要です。配偶者については「Functional Level」(IELTSの場合はOverall 4.5)が必要ですが、政府納付金4,890ドルの納入(19年6月現在)で免除されます。配偶者の場合、ビザ申請書提出後の受験も認められます。
犯歴や健康も審査されますが、軽微な違反、異常は却下理由となりません。
また、雇用主によるNomination申請の際、注意が必要な事例として以下の事例などが考えられます。
- 186ビザ発給後における雇用主の給与支払い能力に疑念を持たれる場合
- ポジションがGenuineでないと審査官が考える可能性のある場合
- 事業再構築などの結果当初の雇用主が現在の雇用主と異なる場合
- 給与が適正に支払われていない場合
- 給与支給が現金で行われ、PAYGやペイスリップなど勤務記録の証拠がそろわない場合
- 雇用主が税法・雇用法・移民法など法令違反を犯している場合
- 数年以内に会社解散、閉店などの予定のある場合
なお、「186ビザの発給後、2年以内にやむを得ない理由で退職した場合、キャンセルされるのか」という質問をよく受けます。
186ビザは発給後、最短でも2年勤務することを前提として発給されるビザですが、ENSビザの地方版であるRSMSビザ保有者の、早期離職に適用されるキャンセル規定に該当する条項はありません。ただ、ビザ発給前に2年継続就労の意思がなかったことが明らかな場合はビザのキャンセルも考えられます。
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高畠英明(たかはた ひであき)
Staff Solutions Australia Pty Ltd
九州大学法学部及びNSW大学法学部卒業後、2002年NSW州の弁護士資格を取得。シドニーの法律事務所で企業法務に従事の後、査証手続きに関する国家資格も取得。大手企業を主要顧客とするビザ専門法律事務所や監査法人の査証部門における勤務を含む15年以上の経験を生かし、アドバイスを提供する(MARN03 25064)