第20回:冬の魅力
こんにちは。いけばな講師をしていますYoshimiです。冴(さ)え渡る空気に身が引き締まる冬、外に出ると寒いと感じますが、しんしんと雪が降るような気配はなく、シドニーではこの季節でも暖かみを感じる陽光が降り注ぎます。
私が真冬に生まれたからでしょうか。静寂の中に差し込む薄い日の光と、暖の取られた家の中で包み込まれるような安心感を得られるからなのか、なぜか私は冬が好きです。考えられる理由として、真冬の白い世界に新たな色を芽吹かせる希望が満ち溢れるからかもしれません。
冬の季節の花いけは、花材に乏しいのですが、地面から背が高く伸びたメキシカン・サンフラワーをシドニーではよく見掛けます。蜂蜜のような濃厚な香りが鼻孔をくすぐり元気をもらえます。年中出回り購入できるバラは、寒い季節こそ気持ちに温かさを感じさせてくれる優れ物ですね。高さや向きに変化を付けリズミカルに挿してから、柔らかい花材をふわっと入れることで複数の花材を1つにまとめることができます。ぜひリビング・ルームなどにいけてみててください。
また花がなくても、身近にある材料で空間を楽しく演出することもできます。花器に金網をかぶせて、青く色を付けた割り箸を三角形に接着し、箸先を少し割ってから金網を摘むように付けていきます。
「Amazing Snow Mountain!」と喜んで頂けたなら、それでもう華のあるすてきなひと時ですね。季節に問わずいけばなは多様に楽しんで頂けると思います。冬の寒い季節こそ、身近に花を置いて家の中を明るく暖かく彩ってみてはいかがでしょうか。
先月からクイーンズランド州の日豪プレスご愛読者の方々にも、「花のある生活」のコラムを読んで頂けるようになりました。ニュー・サウス・ウェールズ州とは気候が違い、シドニーにあまり見ない草木もあるようなので、オーストラリアで生活される皆様に楽しいコラムを毎月お届けさせて頂けたらと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はシドニーのセント・アイビスのスタジオで華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講