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専門家に聞いた!オーストラリアのビザ最新事情2019 エージェント・ インタビュー①

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オーストラリアのビザ最新事情2019

変動が激しいことで知られるオーストラリアのビザ事情。前年度との変更点を始め、申請に欠かせない必要書類や費用、条件などの基本情報に加え、今後予測される動向とそれに合わせた注意点やアドバイスなどを専門家に伺った。「ワーキング・ホリデー・ビザ」「学生ビザ」「就労ビザ」「パートナー・ビザ」に関する最新情報はもちろん、ビザ・エージェント・インタビューもお届けする。

ビザ・エージェント・インタビュー2019

FCBスマート・ビザ
FCB SMART VISA

FCBスマート・ビザで移民部門のトップを務めるアレックス氏
FCBスマート・ビザで移民部門のトップを務めるアレックス氏

オーストラリアの主要企業に対して、法律に関するアドバイス、人事ソリューションなどを提供するFCBグループ。同グループ内でビザに関するサービスに特化しているのがFCBスマート・ビザだ。同社はシドニー、メルボルン、ブリスベンを拠点に、20年以上にわたって従業員のビザ取得に関する支援やアドバイスを行ってきたが、その強みはどこにあるのか。同社で移民部門のトップを務めるアレックス・カウフマン氏に話を聞いた。


――創業以来20年以上にわたり、ビザ取得に関する支援やアドバイスを行い、多くの企業を支えてきていらっしゃいますが、貴社の強みはどのような点にあるのでしょう。

弊所が扱っている分野は大きく3つに分かれます。雇用法に関連する分野、そして移民法、より具体的には雇用主がスポンサーとなる場合のビザに関する分野、そして雇用関係やフェアワーク・コンプライアンスなど、ビジネスを展開する際にポイントとなる雇用主を支援するHRテクノロジー・プラットフォームの分野です。

オーストラリアにはこれら3つの専門分野をすべて取り扱える企業は実はほとんどありません。これらの強みを活用した総合的なサービスを行えるというのが弊所の一番の強みだと考えております。雇用主、特に外国人労働者の雇用主にとって、労働力をより効率よく管理することは大きな課題だと思いますが、弊所では「kaizen」的なアプローチを行い、的確なアドバイスを行うことを目指しています。

――在豪の日本人からはどのような相談が多く寄せられますか。また、依頼頻度の高いサービスなどがあれば教えてください。

日本企業の多くは、主要な上級管理職を世界中の都市に点在する支社にローテーションさせることに高い関心を寄せています。そうした傾向から鑑み、弊所でも日本人からの相談に関してはそのローテーションを効率よく促進できるようなアドバイスを提供するケースが多いです。また、必要に応じて、オーストラリアでの長期、あるいは永久滞在の計画を立てることもあります。また、オーストラリアで独立してビジネスを立ち上げようとする投資家や起業家からの相談も多く受けています。

――近年の傾向として印象的に感じられていることはありますか。

雇用主指名暫定ビジネス・ビザ(Temporary Skills Shortage = TSS visa)の導入により、2018年3月以来、雇用主がスポンサーとなるビザへのアクセスは厳しくなってきております。しかし、私たちも静観しているわけではありません。オーストラリアと日本の間に存在する多くの国際条約義務、例えば移民、貿易、二重課税、社会保障の問題など諸条件を見直し、日本のクライアントが優先的に、かつ有利な結果を確実に受け取れるように努力をし続けてきております。

内務省、およびフェアワーク部門はコンプライアンスに重点を置いています。コンプライアンスに準拠していることが判明した企業には、認定スポンサーになる機会が与えられ、海外からの人員へのアクセスをさらに合理化することが可能です。コンプライアンス監査は、移民法と職場法の双方を考慮した複合的なアプローチによって可能となるため、その点でも弊所の強みが生かせると考えています。

――今後予想されるビザの動向について、専門家としてのご意見をお聞かせください。

2020年の新しい移住プログラムでは、永住ビザの発給数が15%減ることが分かっています。また、サイエンスやテクノロジーなど、STEMベースのビジネスをオーストラリアに引き付ける新しいプログラムや、熟練した技術を持つ移民を都市部ではなく、地方に定住させることを奨励するプログラムも見られるなど、ビザの動向を取り巻く状況は刻一刻と変わってきています。

――今後、強化していきたい分野、サービスにおける展望などを教えてください。

移民ビザに関する状況は、過去20年間のどの時期よりも複雑で面倒なものになってきております。その結果、行政不服審判所では、政治レベルのサポートの必要性もまた高まっています。更に、ビジネスおよび投資家の移住プログラム(サブクラス188/888)が、日本の起業家、およびビジネス・オーナーにとって非常に魅力的な代替ビザの経路になると考えています。そのあたりの分野に注力して更に魅力的なサービスを提供していきたいと考えています。

FCB SMART VISA
■シドニー:Level 11, 83 Mount St., North Sydney、メルボルン:Level 18, 607 Bourke St., Melbourne、ブリスベン:Level 5, 300 Ann St., Brisbane
■Tel: シドニー(02)9922-5188、メルボルン(03)9098-9400、ブリスベン(07)3046-2100
■Web: https://www.fcbsmartvisa.com.au
■Email: 188@fcbsmartvisa.com.au

ビザ・エージェント・インタビュー2019

アーンスト・アンド・ヤング
Ernst & Young(EY)

就労ビザや永住権代行申請の実績が豊富なトニー・ミン氏
就労ビザや永住権代行申請の実績が豊富なトニー・ミン氏

世界4大会計事務所として知られ、税務や会計などを専門としているイメージが強い「アーンスト・アンド・ヤング(EY)」は、ビザに関する業務も積極的にサポートしている。同事務所のグローバル・イミグレーション・チーム・マネージャーで、「Migration Institute of Australia」のメンバーでもあるトニー・ミン氏に、他社と比べての強みや、業務で心掛けていることなどについて伺った。


――貴事務所は、具体的にどのようなビザ・サービスを提供されていますか。

EYは税務や会計を専門としていると思われがちですが、実際はビジネスに関してあらゆる分野でサポートを行っています。ビジネスは結局は人で成り立っているため、どんなビジネスにおいても従業員の転勤や給与に関するサポートは特に重要かと思います。その観点からEYではピープル・アドバイザリー・サービスと呼ばれる部門が企業をHR面からさまざまな形でサポートし、その部門の中にビザ・サポートに特化したイミグレーション・チームがあります。私はそのチームの一員で日系企業を主に担当しています。

具体的なサポートとしては、駐在員が対象となるTSSビザ、サブクラス400ビザ、トレーニング・ビザのサポートはもちろん、学生ビザやガーディアン・ビザ、永住ビザのサポートも行っています。例えば日本のある企業がオーストラリアでビジネスを始めたいとします。オーストラリアでビジネスを始めるに当たり、ビザは一番最初の大きな関門であり、派遣員が就労するのに絶対必要な要件のため、ビザを可能な限り短時間で取得することが重要です。まず最初に会社のスポンサーシップ申請が必要になりますが、設立したばかりの現地法人はまだオーストラリアでの事業活動の実績がないため、日本の親会社がスポンサーとなってスポンサーシップの申請を行います。その申請では、移民局は、その会社がいかに事業を成長させ、現地の雇用を創出するかに注目するので、その点については入念にクライアントに確認しています。

次に、会社がスポンサー認定を受けると、派遣員がオーストラリアの会社で就く役職や業務内容を聞き、最もふさわしい職種を移民局のリストと照らし合わせて選択し、ノミネーションと派遣員のビザ申請を行います。通常はこの2つの申請はスポンサー申請と共に一括で申請し、最短でビザが取得できるようにしています。こういった企業からの就労ビザの依頼が最も多いですが、個人からの学生ビザやガーディアン・ビザ、永住ビザなどの依頼も受け付けています。例えば、派遣員の帰任が決まった際に時々頂く依頼は、お子様の学校の都合で奥様とお子様だけがオーストラリアに残るのに必要なビザの申請です。TSSビザの主申請人であるご主人が日本に帰国してしまうと、ご家族のTSSビザも破棄され、滞在を続けるには別のビザが必要になるからです。また、派遣員本人から「オーストラリアに残りたい」「永住権を取得したい」という要望があった場合も可能なオプションを提示し、サポートしています。

――他社と比べて、貴事務所ならではの強みはどのようなものでしょうか。

やはりEYの世界最大級のネットワーク、そしてその実績数ではないでしょうか。EYには世界中にイミグレーションの専門家がおよそ1,200人在籍し、オーストラリアとニュージーランドには70人程います。このネットワークと豊富な実績を駆使し、お客様からの質問には迅速に回答し、個々の方々にとってベストな提案をすることを心掛けています。イミグレーションとは国と国が関係するため、特定の国の問題や疑問に対して、全世界にいるEY内のその国に特化した専門家の意見を得ることができます。その点はグローバルで、ふさわしいスキルや経験を持った人材を抱えている企業のニーズに合致しており、派遣先や派遣元が世界のどの国であっても私たちは対応することができます。

また、私たちは政府へ移民政策に関する提言やアドバイスも行っており、政府関係者や移民局と頻繁にやりとりがある立場から、政策上の最新動向をより速く把握できることも強みの1つだと言えます。特に約2年前の457ビザ廃止からTSSビザ移行期においては、私たちは積極的に日系企業を含む企業サイドのニーズを政府に訴え、またテレビ・ラジオ・新聞などのメディアを通して、当時厳格化されたビザの要件を緩和するよう積極的にアピールしました。振り返ると、457ビザ改正では私たちのこの強みが発揮されたと思います。ビザが改正された直後は、発表された細かなルールや新たに導入された免除規定などを十分把握できていない方々も多く、「他のエージェントに問い合わせたところ、ビザの取得は難しい。取得できても最長2年までと言われてしまった」などの問い合わせが多く寄せられました。しかし改正後のビザでも、条件さえ合えば改正前とほぼ同じような条件でビザを取得できたケースがほとんどでした。こういった提案ができたのは、私たちの情報取得の速さと、ハンドリングしているビザの件数が圧倒的に多いという実績があったからだと思います。

――ビザに関して、特に多く寄せられる案件はどのようなものですか。

やはり一番多いのは就労ビザに関する案件です。その中でも特にTSSビザが多くを占めます。最近はトレーニング・ビザの相談も多くなってきました。トレーニング・ビザを申請する場合、トレーニング・プランの提出や、ビザを申請する人が本当にトレーニングの必要があるかどうかの判断を受けなければならないなど、多くの条件があります。そのため、私たち専門家の視点から、どのビザがそのお客様にとってベストなのかをアドバイスします。

また、最近はオーストラリアへ初めて進出する企業が増えています。その場合は上記のように派遣される人のビザを申請し、オーストラリアでの会社設立、税務上の登録や派遣員の給与周りの税務上のサポートが必要になります。ビザの手続き後は、EYの他の専門チームにバトン・タッチしてシームレスに効率よくお客様をサポートしています。最近は日本の企業がオーストラリアの大手企業を買収し、その買収されたオーストラリア企業に多くの駐在員を派遣するというケースも増えてきました。

――変動が激しいオーストラリアのビザにおいて、業務で心掛けていることはありますか。

毎日ビザに関する最新情報が社内で共有されています。私たちは、常日頃から情報をいち早くキャッチし、変更点について起こりうる課題とその解決方法を常に考えています。

前述したように、オーストラリアや日本以外からのお客様の対応をすることもあります。ビザの申請は、関係する国々によって申請に必要な資料の種類も違い、その入手方法もさまざまです。そのため、オーストラリアのビザだけではなく、他国のイミグレーションの条件についても情報のアップデートがないか、常に目を光らせています。

――今後予想されるビザの動向について専門家としてご意見をお聞かせください。

前回の連邦選挙では、労働党は労働市場テストの強化やビザ申請が可能な職業を審査する新たな政府の諮問機関の設立などを計画していました。もし労働党政権が実現していたら、ビザ申請可能な職業が大幅に縮小されていたかもしれません。結局、保守連合政権が再選し、同政権は2年前に就労ビザを改正したばかりなので、今後就労ビザへの大きな変更はないと予想されます。同政権のビザに関する変更は、既に発表されている永住ビザの発給枠の縮小と、地方への定住を促進する制度の推進とされています。

一方、移民局は、ビザの申請が可能な職業を定期的に見直しています。しかし昨今では、従来では想像できなかった業種が生まれ、創造性や革新性のある仕事が多くを占めるようになってきていました。移民局の職業リストは、旧態依然の組織体制やこれまで通りの職種が前提となっているため、以前には存在していなかった業種や職種に対応できるようになるかが課題です。これからは時代の流れに対応した形で、オーストラリアが本当に必要とする人材を海外から受け入れる制度に変えていかなくてはなりません。

EYジャパン・ビジネス・サービス
■Web: www.ey.com/en_au/japan-business-services

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