これであなたも英語の達人!
ビッキー先生が教える英語学習法
日本で長年学んだにも関わらず、英語がなかなか上達しないと悩んでいる人は少なくない。オーストラリア留学中であれば、なおさら実力不足を実感することもあるのでは。本記事では、さまざまなタイプの海外留学生たちと向き合って英語を教えてきたプロで、語学学校「Pacific English Study」のビッキー先生によるお薦めの英語上達学習法や、とっておきの学習教材などを紹介する。(取材協力:Pacific English Study/ビッキー・ポロック先生)
スピーキング・リスニング上達法
多くの学生が、語学学校で学習している時だけ英語を使うという間違いを犯します。しかし、それ以外の時間も可能な限り英語を話し、聞くように自分自身を律して、英語を話せるようになりたいという強い気持ちをまずは持つようにしてください。
リスニングを向上させる最良の方法は、英語のニュース番組、ドキュメンタリー、プロのジャーナリストの英語を聞くことです。人気のあるテレビ・シリーズやライフスタイル系の番組ではスラングが多用されますし、正しい文法を使用しないことも多く、英語の学習には役立ちません。しかし、英国のBBC、米国のNBC、CNN及びオーストラリアのABCとSBSが提供する時事問題を扱う番組やドキュメンタリーでは明確で正しい文法の英語が使用されます。
視聴の際には、各センテンスの後に一時停止し、聞いた文を紙に書くか、パソコンに入力しましょう。それを繰り返し、ひと通り終えたところで、番組が提供するスクリプトを読み、書いたものが合っているかを確認します。そしてスクリプトを読みながら番組をもう一度聞きます。これにより、あなたが理解していない言葉とあなたが正しく聞けていない言葉を確認できます。他の類似の単語も学習できるよう、類語辞典で理解していない単語を調べてみましょう。
スピーキングで大事なのは発音です。大事なのはゆっくり話して口を開けること。日本人の学習者にとっては難しいのは「R」音と「L」音の違いでしょうか。これも、舌の位置を理解すると、正しい音を出せるようになります。ほとんどの英語の音は口の中の前側で発音されますが、「R」音は口の中央で舌を丸めることによって発音されます。そして「L」音は前歯の後ろで作られます。先生や友人に、それぞれの音がはっきりと聞こえるように舌の位置の調整を手伝ってもらった上で、本を音読し、それをレコーダーで録音します。そして発音に特に注意しながら、録音を聞いてみてください。可能であれば、先生または英語話者に、あなたの音声を流しながら文章を読んでもらうと、どこが間違っているのか、何の発音を練習する必要があるかが明らかになります。
ビッキー先生のお薦め教材
以下の番組のほとんどは英語の字幕とスクリプトが付いており、最大10年分のアーカイブを視聴できるので資料が豊富です。
また、BBC Learning English(Web: www.bbc.co.uk/learningenglish)は、入門から上級までそれぞれのレベルに合わせた豊富なアクティビティーや映像資料を提供しており、全レベルの学習者に非常に役立つでしょう。他にも以下のような、スピーキングの改善に有用なヒントが詰まった素晴らしい発音の教材があります。
ABC – Australian Story(Web: www.abc.net.au/austory/episodes/)
ABC – Four Corners(Web: www.abc.net.au/4corners/episodes/)
SBS – Dateline(Web: www.sbs.com.au/news/dateline/episodes)
SBS – Insight(Web: www.sbs.com.au/news/insight/episodes)
Ted Talks(Web: www.ted.com/talks)
日本語なまりの克復法
日本語が母国語(第1言語)である人にとって、難しい発音は「R」音、「L」音以外にも、「V」や「B」などが挙げられます。習得するには、まず口をリラックスさせてから、「ban/van」「berry/very」「rain/lane」「rink/link」などそれらの音を含む単語を繰り返し発音するところから始めましょう。口が癖として覚えるまで練習する必要があります。
また、場合によっては「TH」の音も難しいものとなります。舌を上の歯と下の歯の間に挟んだ状態で、舌の先端に向けて息を出します。その時ににっこりと口角を上げることも忘れずに。また、「TH」の音には2種類あり、1つは喉の震動を使う難易度が高いもの、もう1つは空気を舌から外へ流し出して作る柔らかな音です。2つの音はそれぞれ違う単語に使われます。例えば、「this」では震動を伴いますが「think」は柔らかい音です。
発音は練習で改善できます。練習の際には、声に出してゆっくりとしたリズムで行いましょう。音を録音して自分自身で聞いてみると、他人にどのように聞こえているか分かるでしょう。
IELTSの対策
IELTSには、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4つのパートがあります。リスニングとスピーキングはジェネラル、アカデミックのテストとも共通ですが、リーディングとライティングは内容が異なります。スコアは、1から9までの範囲でバンド・スコアとして評価されます。
スピーキングは約15分で、3セクションに分かれています。テストは、受験者が自己紹介と自分の生活についての一般的な質問に答えるところから始まります。2番目のセクションでは、試験官に中断されることなく、あるトピックについて2分間話をします。3番目のセクションでは、2番目のセクションで話したトピックに関するより長いディスカッションを行います。リスニングは30分で問題数は40個です。そして別途、答えを回答シートに写す時間が10分間用意されます。リーディングは60分で、書籍、雑誌、新聞から取り上げられた3つの文章に対し、40個の問題があります。ライティングには2つのタスクがあり、アカデミック・テストのタスク1では、1つ以上のグラフ、表、チャート、図の数字やデータを正しく読み解き、説明することが求められる問題が出題されます。約20分で150語を書かなくてはなりません。タスク2では自分自身の意見や出題されたテーマについて、約40分で最低250語書くことが求められます。ジェネラル・テストのタスク1では、受験者にある状況が提示され、メールまたは手紙を書くことが求められます。
私はIELTS対策を6年間教えてきましたが、短期間で能力を向上させる幾つかのテクニックがあります。
- スピーキングとライティングの準備を始める前にテストを受けるに当たっての採点基準(Band Descriptors)を明確にしましょう。各レベルに求められているものを把握していないと時間を無駄にしてしまいます。例えば、6.0のバンド・スコアが必要ならば複雑な文章を正確に使う必要があります。もしシンプルな文章しか使わなかった場合、たとえ文法が間違っていなくても6.0のバンドスコアに達することはできません。
- 勉強が常に完璧なものであるとは限りません。エッセイを数多く書くだけでは能力を向上させることにはつながりません。エッセイを書いた上で先生に間違えた箇所を明らかにしてもらう必要があります。ただ書き続けるだけでは意味がありません。間違いを指摘された後、リライトし、ミスのないものを大声で読みあげてください。これを繰り返します。
- 無言で黙々と書かず、書きながら単語を声に出しましょう。スピーキング能力はライティング能力よりも早く向上します。ライティング時のようにスピーキングでもスペルや文法のミスを減らす必要があります。
- 他の生徒のエッセイを添削し、直し方が正しいか先生に聞いてみましょう。他人の間違いを正確に特定しその説明をするという練習で、英語力が早く向上します。
- 作文には時間を掛けましょう。完成を焦らず、始めに少なくとも5分は、何について書くか考え、アウトライン作成に時間を使いましょう。
- 英文を読んで、読んで、読みまくることです。可能な限り多く、声に出して読みましょう。何を読んでも構いません。新聞、小説、雑誌、朝食のシリアルのパッケージの裏の表示なども読みましょう。そして、聞いて聞いて、聞きまくります。これによって、あなたの脳内は母国語に替わって英語で考えるようにプログラムされていきます。
オーストラリア人とのコミュニケーションのポイント
オーストラリア人は一般的に、初対面の人と会ったら握手をします。しっかりと相手の手を握り、手全体を包んで振ります。指先だけの握手や弱い握手は厳禁です。これは、あなたが相手にそれほど興味がないということを示すことになります。
最初の「Hello」は、はっきりとした声で、そして相手の目を見て言ってください。「Hi! Good to meet you!」「Lovely to meet you!」「Nice to meet you!」などが良いでしょう。
挨拶の後、「How are you?」と聞かれたら「Good, thank you, and yourself?」と返して返事を待ちます。「Good thanks」には「Oh, that’s good」です。相手に笑い返すだけでなく、どんな質問にも返事をするようにしましょう。あなたの沈黙が会話を一方的に終わらせてしまい、相手はあなたと話すことに興味をなくしてしまうかもしれません。
丁寧な英語の話し方としては、相手に頼む時に頭に付ける「Excuse me」「Could you…」「Would you please…」「May…」「Do you mind…」「Is it okay if…」「I’m sorry, but would you be able to…」などがあります。例えば家を借りに不動産代理店に行ったら受付のスタッフに近付き、「Hello, do you mind telling me if there are any houses available for rent from next week?」と言えばいいでしょう。もしくは、誰かに折り返し掛けるように留守電を入れる時には、「Hi, would please return my call when you get a chance, thank you」と言うか、もっとカジュアルな口調で言うならば、「Hi, wondering if you could return my call, thanks!」と言えば良いでしょう。
「Thank you」「I’m sorry」「Excuse me」はよく耳にするフレーズです。買い物中に通路で誰かに道を空けて欲しいと頼むには、「I’m sorry, but do you mind moving your trolley?」「Excuse me, would you be able to move your trolley a little for me?」と言いましょう。
お店のスタッフからサービスを受けた時にはいつでも、「Thanks very much」と言うのが礼儀です。そうすれば相手も同じように返してくれます。スーパーでレジの店員さんとカジュアルなおしゃべりを交わすのは当たり前のこと。ショッピングのついでに英語話者と数分話すのは良い機会です。話すことや発音について人に助けを借りることを恥ずかしがってはいけません。英語話者はあなたの間違いをむしろ喜んで直してくれます。単語の意味や正しい発音が分からない時は、誰でも周りにいる人に尋ねることです。
週末に開かれるマーケットは、英語話者に出会う絶好の場所です。誰もが和やかに会話を楽しもうとしているので、気楽に英語について尋ねることができます。ビーチもまた、海で泳いでいる子どもをたくさんの人が何時間も見ていたりするので、横にいる人と話したい気分でいるはず。先ほど紹介した挨拶を使うことができたら、その後は「Do you live locally?」などと質問したり、または「It’s been hot/cold, hasn’t it?」と天気について話すことで会話を続けられるでしょう。相手にとって十分に大きな声ではっきりとしゃべってさえいれば会話はつながります。会話の終わりは、「It’s been nice talking,」「Have a great day!」「See you later!」などと締めましょう。
イギリス英語とアメリカ英語の違い
アクセントや発音の違いの他に、ややこしい違いがたくさんあります。例えば、イギリス英語とアメリカ英語では「burned(英)」と「burnt(米)」のようにスペルが異なる単語があります。「enrol(英)」と「enroll(米)」もそうです。語彙も混同しがちです。イギリス英語話者はズボンのことを「trouser」と言いますが、アメリカ英語では「pants」です。その他いくつか挙げると、「flat/apartment」「lorry/truck」「university/college」「holiday/vacation」「jumper/sweater」などがあります。更に単数・複数形、「got」と「gotten」のような特定の過去分詞や、時と場所に関する前置詞などにおいても文法的な違いが存在します。それでも、相違点を超える数の類似点がありますし、一方だけを使ったとしても、コミュニケーションの障害となることはありません。