幸せワイン・ガイド@オーストラリア
今月のテーマ:「ロゼを飲みましょう」
皆さん、ロゼ・ワインはお好きですか?赤でも白でもなく、ロゼ・ワイン。オーストラリアではロゼ・ワインは急成長しているカテゴリーの1つです。華やかなピンク色が太陽の光に映えて、夏を楽しむオーストラリアのライフスタイルにも、とても似合うワインだと思います。
そもそもロゼ・ワインって?
ロゼ・ワインは、赤ワインと同様に黒ブドウで造られています。ですが、異なる製法を取ることにより、その色合いが赤ワインよりもずっと淡いピンク色をしています。では、そもそもロゼ・ワインって、どうやって造っているのでしょう? 以下、ワインの造り方を簡単にまとめてみました。
■赤ワイン
①黒ブドウを果実、果皮などと一緒に発酵した物。
■白ワイン
②白ブドウの果汁だけを、果皮や果肉を取り除いて発酵させた物。
■ロゼ・ワイン
①を短縮したもの、あるいは②を黒ブドウで行った物。
ちなみにオーストラリアでは、この他に赤ワインと白ワインを混ぜてロゼ・ワインを作ることも認められています。しかし、これはあまり洗練された製法ではないため、ヨーロッパの多く(シャンパーニュ地方を除く)では禁止されている製法です。
以上を踏まえてお話を進めます。オーストラリアのロゼは、少し前まで、その多くが「赤ワイン用ブドウの残りで作った副産物」でした。本来赤ワインを作るために収穫されたブドウは、ロゼ・ワインを作るには糖度が高過ぎる物で、キャンディーのような甘みがある物が主流でした。またブドウの質も、まずは良い物が赤ワインに優先的に使われていました。当時はロゼ・ワインに真剣に取り組む生産者が、今ほどはいなかったのかもしれませんね。少し前まではレストランによってはロゼがワイン・リストに載ってすらいない、ということもよくありました。
現在は、目的を持ってロゼ・ワインを作る生産者が格段に増えました。始めからロゼ・ワインを作るためのブドウを別途早めに収穫し、色の抽出も控え目に抑え、淡い桜色の辛口ロゼに仕上げるのが流行となっています。このスタイルのロゼは、フランスのプロヴァンス地方のそれに倣った物です。プロヴァンスは世界的にも有名なロゼ・ワインの産地です。俳優のブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーも、実はここにワイナリーを所有しています。ロゼ・ワイン流行の背景には、夏のビーチ・リゾートでロゼを楽しむヨーロッパの文化がオーストラリアにも浸透してきたこともあるでしょう。
男性にも似合うロゼ
可愛いピンク色、そして「甘そう」というイメージからか、「女性の飲む物」というイメージを持つ人もいらっしゃるかもしれません。ですが、このトレンドの中でロゼを楽しむ男性が今増えています。男性だけのグループが、バーなどでロゼ・ワインのボトルを開けているのも、もはや珍しい光景ではなくなりました。ロゼは辛口でさらりと楽しめるワインであるということが広く認識され始めたのだと感じます。もちろん男性だけでなく、デイライト・セービングで日が長い今の時期などはレストランやバーの屋外の席で、ロゼ・ワインを楽しむ人びとは、オーストラリアのライフスタイルとトレンドをよく象徴する風景です。
何と合わせる?
現代のトレンドである辛口のロゼ・ワインは、英語では「Versatile」とよく表現されます。つまり、何にでも合わせやすいということです。お肉にも魚介にもサラダにも、そして和食にも合わせやすく、もちろん夏の仕事帰りの一杯にも最適です。白ワインの爽やかさと、赤ワインの果実味を併せ持つロゼ・ワイン。例えば真夏の日のバーベキュー、シーフードでもお肉でも、野菜のグリルでも。焼き魚や炊き込みご飯、餃子、春巻きなど、和食やアジア料理にも良く合います。パーティー・メニューであれば手巻きすしや焼肉にもお薦め。ぜひいろんな場所で、ロゼを楽しんでみてくださいね。
*今月のお薦めワイン*
夏のオーストラリアに似合うロゼ・ワインを楽しんで
女子会のお供に
De Bortoli La Boheme Act 2 Rose Yarra Valley/$20
和食やアジア系のBYOに
Spinifex Rose Barossa/$25
仕事終わりのご褒美の1杯に
BK Wines Rose Adelaide Hills/$27
フロスト結子
オーストラリアと日本でワイン業界に携わり10年以上。ワイン卸業社に勤務しながらフリーランスでもワイン専門通訳、翻訳、ライター、市場調査、イベントなど幅広くこなす。私生活ではマラソン・ランナー。世界最大のワイン教育機関WSETの最上位資格、WSET®︎Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。
Web: auswines.blog.jp