第12回 バレエ特有の“足さばき”にご注目!
こんにちは、QLDバレエ団の吉田合々香です。
今回は、バレエの「Pas(仏語で「ステップ」)」についてご紹介したいと思います。
バレエは、あらゆるPasが組み合わさって構成されていて、ジャンプや回転のみならず、大きな見せ場の“つなぎ”となる動きにも全て名前が付いています。プレパラション(仏語「準備」)と言われ、ジャンプの前の助走を付けて踏み切る部分、回転を始める前の流れなど、バレエのどの瞬間でも、クラシカル・バレエの型の通りにPasを丁寧に踊ることが求められます。
無限に存在するPasの中で、皆さんにも覚えやすい動物の動きを連想させるものを幾つかご説明します。
片脚ずつひざを曲げて跳躍し、空中で両足を横長のひし形に見せてから片脚ずつ降りてくるジャンプは”Pas de chat”(仏語「猫のステップ」)と呼ばれ、『眠れる森の美女』のオーロラ姫の登場のシーンでも見られます。
馬の脚のしなやかな動きを連想させる“Pas de cheval”(仏語「馬のステップ」)は、『ドン・キホーテ』の主役キトリの結婚のシーンのソロでも使われています。片足の指の裏で床を引っかくように足を差し出すステップは、馬が地面を引っかく優雅な動作に似ていますよね。
写真のように、男性が女性を支え、女性が床に魚がダイブするように体を反らしてポーズを保つリフトは“Fish Dive”。これが簡単そうに見えて、男性は前屈みで女性を持ち上げ、女性は重心が上半身にある状態で、空中で背中を十分に反らせなければいけないなど、なかなかの難易度なのです。
次にバレエをご覧になる際は、ぜひバレエ・ダンサーのステップにも注目して見てみてください。
このコラムの著者
吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト
金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。