NSW州立美術館 ボランティアガイド便り
ソル・ルウィット「親和性と共鳴」展
(2023年2月12日まで開催中)
執筆者=チョーカー和子/日本語ガイド
ソル・ルウィット(Sol LeWit t)とオーストラリア中央砂漠の絵画との親和性を探り、彼の作品の音楽的共鳴をも明らかにする展覧会「ソル・ルウィット:親和性と共鳴(Af finities andResonances)」が、NSW州立美術館で開催されています。
ソル・ルウィット(1928~2007年)は、「概念アート」という言葉を生み出した、20世紀アメリカ美術の中心的人物です。「アイデア」こそが作品であり、作ることは二の次である、という彼のコンセプトは画期的で、その思想は多くのアーティストに影響を与え続けています。
美術館に入ってすぐ右側、高さ3メートル、幅10メートルを超える壁全体に、鮮やかな赤と紫の帯が絡み合うように描かれた巨大な壁画「Wall drawing #955, Loopy Doopy (red and purple) 2000」は、1997年のベニス・ビエンナーレでルウィットが初めて出合ったオーストラリア中央砂漠の絵画が彼に与えた影響を示すものです。
本展は、ルウィットの作品をエミリー・カメ・ウングワレーとグロリア・タマーレ・ペティアレの絵画と対置して紹介し、異質な2つの芸術作品の視覚的対話を強調しています。
また、壁画「Loopy Doopy ( red and purple)」に呼応して、アメリカとオーストラリア先住民ミュージシャンが共同開発した新しいジャンルの3つの音楽作品もお楽しみ頂けます。
本展覧会は入場無料、2023年2月12日まで開催しています。
Art Gallery of NSW
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館。常設展入場無料。本連載は美術館の日本語ボランティア・ガイドが担当。「件名:Japanese Tour」でEメールでの日本語での問い合わせ可。
Web: www.artgallery.nsw.gov.au
Email: volunteerg@ag.nsw.gov.au