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キックボードでオーストラリア縦断に挑戦中─うにさんにインタビュー!

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日豪プレスのオフィスに到着したうにさん

 日豪プレスのインターンシップ・プログラムに参加している大学生3人が2月22日、オーストラリアをキックボードで縦断中のうにさん(23歳)にインタビューを行った。うにさんは1月24日にメルボルン空港を出発し、ケアンズ空港に向けて旅を続けており、地元メディアにも多数取り上げられている。なお、同インタビューは、インターン生3人にとっても初挑戦となった。
(文・写真=鈴木新世、森重佳菜、山内岳登)

PROFILE

うに
東京都出身。高校卒業後、大工をしていたが退職しアルバイト生活を始める中、自分を変えたいという思いが強まる。2021年に無一文キックボード日本1周、22年に車でお礼回り日本1周(何でも屋さん)を実施。現在、キックボードでオーストラリア縦断に挑戦中(Instagram: @uni.kick)。


──オーストラリアを縦断しようと思ったきっかけは何ですか。

 自分を変えたいという気持ちがきっかけです。もともと人と話すことが苦手で、自分に自信がありませんでした。もっと視野を広げたい、自信をつけたいという思いから1年前に日本を1周しましたが、更に自分の成長につながることをしたいと考え、この旅を決意しました。オーストラリアを選んだ理由は国土が広く、自分が訪れたことのない国に行ってみたいと思ったからです。

自身の過去と今回の旅のきっかけを語るうにさん

──なぜキックボードでの旅を選んだのですか。

 自分の足で走りたい、その中でも誰もしていないことに興味があったからです。偶然キックボードを思いついて、間違いなく面白くて楽しいと確信しました。

──持ち物がかなり少なそうですが、日本から持ってきた物は何ですか。

 ギターとテント、寝袋、スリーピング・マット、予備のモバイル・バッテリーを複数個持っており、キックボードの前には水筒を付けています。また、小さいドローンを所持し、自分で操作しながら撮影しています。ソーラー・パネルも持っていて、日中は太陽光を使ってスマホを充電し、服は肌着がワンセットです。荷物は極限に減らしています。

うにさんの移動手段であるキックボードと総重量約17kgの荷物

──寝泊まりや食事はどうしていますか。

 以前は野宿をしていましたが、ガーディアン・ニュースペーパー(The Guardian Newspaper)に記事を載せて頂いてからは、ホームステイを受け入れてくださるとの連絡を度々頂くようになりました。今では野宿とホームステイの割合は半々です。ホームステイの際は食事を提供してもらっていますが、野宿の時は食パンを食べています。

──ユニークな服装をされていますが、理由やこだわりはありますか。

 この服装には思い入れがあります。日本一周をしている時に出会ったおじいさんがくれた物で、日本横断の際、毎日電話で応援してくれた今は亡き彼とどうしても一緒に旅をしたいと思い、このような格好をしています。笠は服装に似合うように選びました。

──なぜこのような過酷な旅をしようと思ったのですか。

 まず初めに、自分を変えるには、簡単な方法ではなく、多少困難でハードな方が良いと思い、何かに挑戦するなら人と同じことをしても物足りないと感じたからです。また、多くの人と出会いたいと思いました。車やバイクなどの速く移動できる乗り物を使うと人と出会う機会が少なくなってしまいます。だから、厳しい道のりであってもキックボードで旅をしています。

──旅でのモチベーションはどのように維持していますか。

 初心に帰ることでモチベーションを保っています。旅の始めが一番熱量のある時なので、自分を成長させたいと、旅を思い立った時の気持ちに戻るようにしています。誰でも「やめたい」と感じたり、やめる理由を探したりする時があると思いますが、僕はその自分は偽物だと思っています。本当の自分は、最初に「やりたい」と思った時の感情を持っているはずなので、それを思い返すようにすると、また「走ろう」という気持ちになります。

──オーストラリアに来て、日本との違いを感じましたか。

 街から街までコンビニが一軒もないなど、オーストラリアの広大さを実感しました。また、オーストラリアの方々は、すごくフレンドリーです。僕は日本一周を通して、日本の方々の温かさや優しさに触れましたが、オーストラリアも同様で、国が違っても人間は同じなんだと感じることが多いです。とにかくすごく素敵な国だと思います。

──現時点で印象に残っているオーストラリアでの旅のエピソードはありますか。

 最初の民泊です。まず、この旅でホームステイをする機会があるとは思っていませんでした。僕は格好が特殊で、英語を話せないからです。セイモアという街で声を掛けて頂き、ご夫婦の家に泊めてもらった時、別れの際に伝えたい言葉が英語で出てこなかったため、「リメンバー・フォーエバー」という言葉と、心を込めた「Thank you」としか言えませんでした。それでも僕の気持ちが届いたらしく、3人で泣いて別れを惜しみました。言葉の壁を超えた、心のつながりを感じた瞬間でした。

──SNSで旅の様子を投稿していらっしゃいますが、フォロワー数は伸びましたか。

 一応、自分の中ではインスタグラムがメインですが、あまり力を入れていなくて、オーストラリアに来てから多少投稿するようになり、1万人くらいにフォロアーが増えました。TikTokも投稿していますが、あまり増えず、現在フォロワーは1万8,000人くらいです。サブでTwitterも活用しています。

 自分に関する記事を、ガーディアン・ニュースペーパーとニューヨーク・タイムズに掲載して頂いたので、その影響が大きかったと思います。最近、9Newsにも取り上げて頂き、すごくありがたかったです。認知度があると、旅をしていてもあやしまれません。

──最後に、この旅をひと言で表すとしたら?

 「優しさ」ですかね。旅を始める前は、けがをしたりトラブルに巻き込まれたりといった危険なことばかりを想像していました。実際は、なぜこんなに優しく接してくれるのかと疑問に思うくらい人の温かみに触れています。公園に座っていたら声を掛けてもらい、あいさつを返すと、1時間後に再び来て「君が大丈夫か心配で見に来た」と言ってくれた人がいます。 また、道で地図を見ている時に、車を止めて「Are you Ok?」と尋ねてくれる人もいました。この旅を通して、人の「優しさ」をとても強く感じています。

──本日は、ありがとうございました。

左から、山内岳登、うに、森重佳菜、鈴木新世(敬称略)
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