オーストラリアには、ANZSCO(Australia and New Zealand Standard Classification of Occupations)という職種ごとに必要とされるスキル・レベルが定められた分類書があり、就労ビザやポイント制技術ビザなど職種を指定してビザ申請をする場合、移民局はそれを基にビザ申請者がその職種に対するスキルを有しているかどうかを確認します。
以上を踏まえ、「Cook」と「Chef」の場合、定義はそれぞれ以下のように定められています。
Cook
「2年の実地研修を含むCertificate3以上の関連する学歴」または「最低3年の関連する職歴」
主な業務:食材の下処理、調理、味付け、盛り付けなど
Chef
「Diploma以上の関連する学歴」または「最低3年の関連する職歴」
主な業務:メニュー考案、食材費及び人件費などの管理、マネージャーや栄養士との協議、調理手順や技術アドバイス、品質管理、衛生管理、人材育成など
以上のことから、例えばCertificate 3 in Commercial Cookeryを修了後、レストランでCookとして働くことは職歴としてカウントできますが、Chefとしてカウントすることはできないということになります。
一方、例えばそれ以前に日本でCookとして3年以上働いていた場合には、Certificate 3を就学中であってもCookとしての職歴としてカウントすることができるということです。
なお、Chefとしての主な業務内容を見れば分かるように、どちらかというと管理職に当たります。そのため、ANZSCO上の定義として「最低3年の関連する職歴」を証明できれば学歴面での証明は必要ないということになるのですが、KitchenhandやCookとしての経験を経てChefになるという流れが一般的ですので、「Chefとして3年の職歴」しかないというのは考えにくいということになります。
余談ですが、ちょうど原稿を書いている際、就労ビザに関する移民局の発表がありました。482TSSビザから永住ビザへの移行申請は、長期ストリームの場合に限られていましたが23年11月25日以降、短期ストリームの場合でも永住ビザへの移行申請が可能になるようです。正式に施行されてみないと分かりません。
アドバイザー
清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営