失業率3.9%でも新雇用はわずか4,000人

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経営者の求める労働力供給の回復も遠く

5月19日付ABC放送(電子版)は、豪統計局(ABS)の労働統計データで失業率が3.9%まで下がったが、現実には4月中の新雇用数はわずか4,000人に留まっており、事実上完全に停滞していると伝えている。

 オーストラリアの失業率が’4%を下回ったのは1970年中期以来初めてだが、4月中の新雇用の低さは大方のエコノミストの予想を裏切っている。また、不完全雇用も6.3%から6.1%に下がり、2008年9月の世界金融危機の始まり以来最低の水準になっている。3月の失業率も当初は4%と発表されていたがその後の修正の結果3.9%だった。

 このように新雇用がほぼ停滞状態になっているにも関わらず失業率が低下しているのはスコット・モリソン連邦政府が宣伝するような政策による経済回復ではなく、求職者が減ったことが原因で、労働力参加が微減し、66.3%になっていることが挙げられる。

 NABのエコノミスト、アイバン・カルホーン氏は、「フルタイム雇用は92,000人創出されたが、パートタイムが88,000人減少しており、パートタイム雇用からフルタイム雇用に移行したと考えられ、それ自体は喜ばしいことだ」と分析している。

 総労働時間も4月には1.3%増加しており、不完全雇用の減少だけでなく、ABSのビョルン・ジャービス労働党系部長は、「天候の理由で平常よりも労働時間が減ったという人がピーク時の3月の50万人強から4月には7万人前後にまで下がっている」と分析している。

 ただし、コロナウイルス・オミクロン株蔓延の影響が続いており、ジャービス氏は、「今年の4月には病気を理由に労働時間が減った人はパンデミック前の4月の平均をほぼ2倍する74万人に達していた。そのうち34万人は4月にまったく働いておらず、その数字は通常の3倍にもなる。

 KPMGの主任エコノミスト、セーラ・ハンター氏は、「新雇用が伸びていないにもかかわらず労働時間が増えているのは、求人と求職のミスマッチが起きており、失業者が経営者の求める技能を持っていないことが原因で、適切な労働力の不足が企業活動の足かせになっていると考えられる。また、海外からの技能労働者流入もまだ快復していないことから、適切な技能を持った労働者はこれから賃金上昇が始まることが予想される」と分析している。
■ソース
Unemployment rate dips below 4 per cent, but job creation slows almost to a halt

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