豪北西部から南東部に長い雲の帯
現在、オーストラリア大陸北西部のインド洋側から大陸中央部を縦断し、VIC、SA、TAS、NSW州を覆い、QLD州南部にも広がり、さらに大オーストラリア湾で低気圧を形成する雲の帯、「大気圏の川」が居座っている。
そのため、今週いっぱい、南の寒冷前線と北の熱帯性の水蒸気が、大陸中央部の砂漠地帯を含めて各地に大雨をもたらす見込み。
6月22日付ABC放送(電子版)が伝えた。
降雨はSA州から始まり、6月23日にはメルボルンに到達、さらに24日にはキャンベラやシドニー、25日にはQLD州ブリスベンに到達する見込みになっている。
先日洪水被害を受けたVIC州南東部のギップスランドはこの大気圏の川の影響はほとんど受けない見込みだが、気象庁(BoM)は、この雲の帯の西側、大オーストラリア湾上空に発達している低気圧に注目している。
BoMのセーラ・スカリー主任予報官は、「6月24日にはQLD州南西部、NSW州中央部、VIC州中央部に雷雨が発達する見込み」と予報している。
この雷雨は強風を伴うかなりの荒れ模様になる可能性もあると予報されている。
既に大陸中央部の砂漠地域に雨が降っており、これからさらに南東部に伸び、あるいは東に広がってQLD州に向かう状態になっている。
冬にはほぼ毎週のように南氷洋の寒冷前線が大陸の南を東に移動していくが、砂漠からダンデノン地域にかけての雨はその毎週の動きとは違っており、今回の気象現象は「大気圏の川」と呼ばれ、メルボルン大学のキンバリー・リード博士課程院生は、「この雲の帯はほぼアマゾン川に匹敵する水量を熱帯地域の北西部から大陸南東部へと運んでくる非常に巨大な雲の帯であり、それが山脈にぶつかったり、寒冷前線と接触すると今週体験することになるように大雨や洪水、雪、強風などをもたらす」と説明している。
これと似た現象には北西雲バンドと呼ばれるものがあり、今回のように大陸北西部から南東部に延び、しばしば低気圧と連結しているが、この大気圏の川ほど大量の雨はもたらさない。ただし、北西雲バンドと大気圏の川が結合すると大雨をもたらすことになる。
■ソース
Atmospheric river set to deliver a deluge from coast to coast