モリソン政権の説明と食い違う米判事の証言
ウガンダの国立公園内で、イギリス人、アメリカ人、ニュージーランド人の観光客グループがルワンダ武装勢力にナタで殴り殺された上に乗っていた車に放火された事件のルワンダ人テロ容疑者2人がアメリカで不起訴になり、難民交換協定でオーストラリアが受け入れ、オーストラリア国内に定住している。
オーストラリアに住むイギリス人被害者の両親がその事実を知って公に問題にしたが、5月16日、スコット・モリソン保守連合連邦首相は、「難民交換協定でアメリカから送られてきた難民はすべてオーストラリア社会に対する危険性を審査し、安全と確認された後に定住を認めている」と説明していた。
5月30日、ABC放送(電子版)は、同局の時事番組「7.30」の内容を伝えており、2人のルワンダ人のアメリカ定住を、アメリカの判事が、「米社会に危険性あり」として拒否した事実を報じており、モリソン政府の説明と著しく食い違っていることが明らかにされた。
ウエイン・イスクラ氏は元アメリカ合衆国移民問題担当判事であり、2007年に問題の2人のルワンダ人がルワンダのテロリスト・グループであり、1999年にウガンダのゴリラ・ウォッチ旅行に参加していたアメリカ人、ロブ・ハウブナーさん(48)とスーザン・ミラーさん(42)の殺害を自供している。米当局は2人を起訴し、検事局は死刑を求刑したが、2人の自供が拷問によるものと判明したため、裁判が中止された。
その後、2人は「ルワンダに送還されれば拷問される」と主張して難民申請していたが、イスクラ判事がこの2人の主張を退け、「2人は凶暴になる可能性があり、米社会に危険」とした。
イスクラ判事は、2人が、「アメリカ人旅行者2人を殺害した」という自供については拷問が行われたことを理由に取り上げず、それ以外の証拠に基づいて、2人がアメリカ人旅行者殺害の現場にいたと判断した。「2人がアメリカ人旅行者を殺害したという証拠はないが、現場にいたという証拠はあり、ゆえにアメリカ社会にとって危険がありえると判断した」と語っている。
さらに、「2人がルワンダに送還されれば拷問を受けるという陳述には信憑性がある」と判断、2人はアメリカ国内で無期限に服役することもあり得たが、バラク・オバマ大統領とマルコム・タンブル首相の協定に基づいてオーストラリアに送られることになった。
1999年の事件は、100人を超えるルワンダのフツ武装派が国立公園内で旅行者を襲い、8人を殺害している。
「7.30」の質問に対して、デビッド・コールマン移民相の広報担当官は、「豪の国家公安当局が危険と判断した人物はオーストラリア国内には入れていない」として、また、5月16日のモリソン首相の発言を再度支持した。
■ソース
Two Rwandan refugees resettled in Australia posed a danger, says US judge who rejected them