フェア・ワーク・コミッション仲介の調停作業失敗
年収400万ドルのラグビー・オーストラリア(RA)の人気選手、イスラエル・フォラウ氏が自分のインスタグラムに、「警告 地獄が待っている 酒乱、同性愛、姦通、虚言、姦淫、盗賊、無神論、偶像崇拝の徒どもよ 悔い改めよ イエスだけが救える」と投稿したことで、「同性愛者を排除しない方針」のRAは、「フォラウのRA契約違反はこれで2度目」として、5月17日、3人の審理パネルでフォラウ氏との契約破棄を決定した。これに対して、フォラウ氏はRAの不当解雇としてフェア・ワーク・コミッション(FWC)に提訴した。この問題は労使協約、表現の自由、信仰の自由、宗教の特権などの問題を巻き込んで膨れあがり、フォラウ氏は既に200万ドルの裁判闘争資金を集めている。
6月28日にはFWCがフォラウ氏とRAとの調停を仲介したが、和解には至らず、FWCにはそれ以上の権限がないため、両者は法廷で争うことになった。
調停作業の前、フォラウ氏は、「RAの謝罪を要求する」とのビデオをオンラインで発表、さらに、「スポーツ界の有力者から、問題のインスタグラムを取り消せば金をやると言われた」とも広言したが、RA側は声明を発表してこれを否定した。
フォラウ氏のジョージ・ハロス弁護士は、「フォラウ弁護団がRAと3時間にわたって話し合ったが合意は得られなかった。事態の変化がない限り、問題は連邦裁に持ち越される」と発表している。また、RAとNSWラグビー・ユニオンもフォラウ氏同様に、「和解に至らなかったことには残念なこと。団体の手続きに自信を持っている。これからもRAのゲームの名を守るために邁進する」と発表している。
フォラウ氏はキリスト教ロビー団体ACLの後ろ盾で200万ドルの裁判資金を集めており、この問題が裁判でとことん争われると見られているが、慈善団体登録を受けているACLが裁判資金を公募したことについて同登録機関が「慈善に外れる行為」として調査を始めている。
■ソース
Israel Folau, Rugby Australia headed to court after no settlement reached at Fair Work hearing