豪特殊空挺部隊隊員の非戦闘員殺害容疑
豪軍精鋭の特殊空挺部隊(SAS)隊員が、アフガニスタンで非戦闘員の農民男性を低い崖から突き落とし、崖下で殺害した容疑が長年懸案になっていたが、このほど、連邦警察(AFP)職員が捜査のためにアフガニスタンに派遣され、現地の目撃者などから事情聴取を始めていることが報道された。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
容疑ではSAS隊員が現地の男性に手錠をかけたまま暴力行為を行い、殺害したとされているが、豪軍兵士の戦犯容疑をAFPが捜査するために職員を海外に派遣するというのは前代未聞で、AFPがこのような容疑を捜査することはなかった。
AFPでは、オーストラリア国内在住のSAS隊員からも、このアフガニスタン人男性で子供を持つアリ・ジャン氏の処遇について目撃者証言を得ている。
SAS隊員目撃者の証言では、2012年9月、アリ・ジャン氏はオルズガン州のダーワンという小村で低い崖から蹴り落とされ、射殺されている。捕虜の取り扱いを規定した国際法では捕虜は人道的に処遇し、あらゆる暴力行為から守ることが義務づけられている。
AFPの広報担当官は、「戦犯容疑捜査を支援するため、職員をアフガニスタンに派遣した。アフガニスタン国内では同国当局がAFPに協力している」と発表している。
AFPがSAS隊員らの目撃証言をすでに入手しており、さらにアフガニスタンに職員を派遣して現地の目撃者からも証言を得るというのはAFPがかなり念入りに目撃者を見つける意図と推測できる。
また、AFPが豪軍内部を捜査するというのはこれまで豪軍命令系統が可能とは考えていなかったレベルにまで達しているが、豪軍筋では、「AFPの捜査では豪軍幹部でさえまったく情報を与えられていない」と語っている。
■ソース
SAS murder probe intensifies as federal police speak to Afghan eyewitnesses