連邦・州の試算で同発電所維持の政府要求に無理
エネルギー企業AGL社がハンター・バレー地域に所有している老朽化したリドル石炭火力発電所の半分の運転期間を延長するだけでも年間1億ドルを要し、また、その額をつぎ込んだとしても様々な技術的問題があり、その信頼性には問題があるとされている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
連邦とNSW州の両政府合同がタスクフォースを設立し、AGL社の1,660メガワットの発電所の稼働可能性調査を続けてきたが、間もなく最終報告書が出される見込みとなっている。
同発電所はすでに50年を経て老朽化しており、2015年には同社が2023年の運転停止を発表していたが、保守連合連邦政権が運転延長を要求している。
しかし、複数の筋の情報でも、2023年以降も4基の発電装置のうち2基を2023年以降も運転させるためだけでも少なくとも3億ドルの経費がかかるとされている。しかし、AGL社はその経費を出す意図がないだけに、その経費は連邦政権を通じて国民が負担することにもなりかねない。
2015年、AGL社は、電力市場に対して2022年の稼働停止を通告していたが、政府の圧力に屈し、同年3月の州議会選挙の後、3基の運転を2023年4月まで延ばすことを約束している。
内部筋の情報によると、AGL社とNSW州政府は、同発電所の稼働期間を延長することに反対の態度で一致しており、その理由として、老朽化した施設の機械的な故障で発電所職員に危険を及ぼすだけでなく、もっと安価な電力源がすでに可能だということもある。
また、同発電所の老朽化が進むにつれて発電能力の信頼性も悪化することが予想され、もっとも必要とする時に発電能力が落ちる可能性がある。
NSW州政府広報担当官は、「州政府はリデル・タスクフォースの最終報告書を待って、それを検討するつもりだ」と語っている。
一方、アンガス・テイラー連邦エネルギー相も報告書を待っているとしているが、一方で、「連邦政府の方針は、報告書の内容に関わりなく、発電設備の寿命が来ても稼働期間を延長するか、同じ発電手段で新規更新することに変わりはない」と語っている。
■ソース
$100 million a year to keep half of Liddell coal-fired power plant alive