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「人間力」/日豪フットボール新時代 第140回

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(Photo: TOSHI GraphiX)

「どこまでも“気持ちの良い”人だ」。これまで数回言葉を交わしてはいたが、初めて腰を据えてしっかりと話した、今井智基(ウエスタン・ユナイテッド/33歳)に対する率直な印象だ。

 日本人初のAリーグ100試合出場を達成し、豪州で活躍する侍フットボーラーの名実共に頂点に立つ今井。それだけではない。クラブの顔として100試合達成の節目の試合ではキャプテン・マークを巻いた。新設クラブのレジェンドになるには、ひとえに選手としての実力を認められただけではなく、外国人選手ながら稀有の存在感と深みのある人間力があってこそなのは、WSW(ウエスタン・シドニー・ワンダワーズ)での小野伸二の例を引くまでもない。今井もまたその偉大なる先達同様、その飾らない人柄で同僚だけに留まらず、クラブに関わる全ての人びとに愛されている。

 そんな今井が、ブリスベンに遠征してきた自身101試合目となる試合後、かなり遅い時間にもかかわらず、宿舎で取材に応じてくれた。時間が時間だけに聞くことを絞って望んだつもりが、かたや日本人Aリーグ最多出場選手、かたや長らく豪州フットボール事情を追うライターという2人が話し込まないはずはない。あっという間に時間は過ぎていった。

 前述の小野以外にも、三浦知良、本田圭佑といった日本フットボール界のレジェンドがプレーしてきたAリーグ。その中でも今井の実績は他の日本人選手の追随を許さない。2019/20シーズンに途中入団して以来、足掛け5季で成し遂げた偉業はまさに金字塔。常に体を張ってピッチ内外で多くのコミュニケーションが求められる守備の要として、試合に出続けることの重みは数字以上の意味を持つ。大柄なオージーに比すれば決して大きくはない体ながら、ピッチ上のフィジカルのぶつかり合いに打ち勝ち続けることで勝ち取った、3季目の年間王者のタイトルは大きな勲章だ。

 これだけの実績を誇りながらも、言動におごりを微塵も感じさせないのが今井という人間。「僕はメンタルとキャラクターだけですから」と本人は謙遜するが、クラブはピッチ内外でのその人間力を高く評価している。今後も長く活躍を続ければ、それこそドイツの長谷部誠のように引退後の“役職手形”がクラブから掲示されても驚きはない。それほどにクラブと今井の関係は良好なのだ。

 まさに今、レジェンドとして歴史を紡ぐ黒と緑の勇姿を拝みにスタジアムに足を運べば、今井智基というフットボーラーの深く、強い人間力の一片に必ず触れられるに違いない。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

ライター、コラムニスト。タカの呟き「いよいよ筆者の暮らすQLD州でも、州1部NPLが開幕。男女共に多くの日本人選手がプレーする今季も地域密着でカバーしていこう。取材対象とは、直接、話してこそとのこだわりが故になかなか他州の選手を取り上げられないでいるのは心苦しい。何とか今後も機会を探っていきたい」





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