執筆者=松田延子(NSW州立美術館日本語ガイド)
今回は、現在シドニーで行われている第24回シドニー・ビエンナーレをご紹介します。
シドニー・ビエンナーレは、2年に1度行われる国際的なコンテンポラリー・アート・フェスティバルです。第24回はNSW州立美術館、新しく会場となるホワイト・ベイ発電所、MCA(オーストラリア現代美術館)を含むシドニーの数カ所で6月10日まで開催されてます。
ビエンナーレは1973年の創設以来、100カ国以上のアーティストの作品を展示し、芸術とアイデアのための場を提供してきました。今日では国際的なコンテンポラリー・アート・イベントの代表的なものとなり、オーストラリアのみならず世界中から革新的で示唆に富むアートを集め、紹介していることで知られています。
今回のビエンナーレは2人の共同アーティスティック・ディレクターがキュレーションを担当し、「Ten Thousand Suns(1万個の太陽)」と題されています。オーストラリア、日本を含む47カ国から88組のアーティストたちが参加。文化の多様性、つまり私たちのさまざまなアイデンティティーの要因となる「太陽の喜び」を伝えようとするものです。
NSW州立美術館の展示では、アーティストの多くが世界的な緊急事態(紛争や困難、環境破壊など)におけるアートの役割を探求しています。自己とコミュニティーの強力な表現として、衣装や装飾品を通して、パフォーマンス的でお祭り感のある表現を取り入れたアーティストもいます。
エントランス・ホールでは、ポリネシアとニュージーランドに拠点を置くジョン・プーレイ(John Pule)のカラフルな絵画、また日本のLGBTQI+コミュニティーにおいて重要なアーティスト、円奴(Maru Yacco)が来館者を遊び心あふれる作品で迎えてくれます。
地下2階に下りて行くと、4部屋のアート・スペースで、さまざまなアートが展開されます。第2次世界大戦中にダーウィンを襲撃後、メルビル島に不時着した日本人パイロットの話を描くオーストラリア先住民アーティストのポーレッタ・ケリナウイア(Pauletta Kerinauia)、オーストラリアの文化や政治に対する風刺、さまざまなキャラクターやシンボル、漫画のようなテキスト、そして鮮やかな色のスペクトルで知られる先住民アーティストのゴードン・フッキー(Gordon Hookey)の作品など、お見逃しなく。
■詳細Web: www.artgallery.nsw.gov.au/whats-on/exhibitions/24th-biennale-of-sydney/
ビエンナーレ展の入場は無料です 。ぜひ皆様のご来館をお待ちしております。また、特別展として開催されている「ブルジョワ展」の日本語ガイド・ツアーは、4月7・14・21日の日曜日午前11時から行われています。
Web: www.artgallery.nsw.gov.au/whats-on/events/japanese-guided-tour-louise-bourgeois
常設展の無料日本語ガイド・ツアーは、南館は毎週金曜日の午前11時から、北館は毎週日曜日の午後1時から実施中。
Art Gallery of NSW
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館。常設展入場無料。本連載は美術館の日本語ボランティア・ガイドが担当。「件名:Japanese Tour」でEメールによる日本語による問い合わせ可。
Web: www.artgallery.nsw.gov.au
Email: volunteerg@ag.nsw.gov.au