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バレエとピラティスの深い関係/QLDバレエ団 合々香と弘平のグランパドトゥ 第35回 

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『海賊のパドドゥ』より、海賊のアリのコーダ(Photo: David Kelly)

 皆さん、実はピラティスとバレエには深いつながりがあることをご存じでしょうか。

 ピラティスというメソッドは、20世紀初頭にドイツ出身のジョセフ・ピラティスによって生み出されました。彼自身、病弱だった幼少期にさまざまなスポーツを経験して、強い体を手に入れようとしたのがそもそもの始まりだったようです。その後、第1次世界大戦中に収容所に捕らえられた彼が、彼自身と囚人たちの日々の健康を保つために生み出したのが、今のピラティス・メソッドだと言われています。

 バレエとの関係は、後に彼が渡米してスタジオをニューヨークにオープンすることから始まります。そのスタジオの近くにあったのが、世界に冠たるニューヨーク・シティ・バレエ団。彼のエクササイズの噂を聞きつけたジョージ・バランシン(当時のバレエ団のディレクター)がピラティス・エクササイズとバレエの体の使い方の近似性に目を着け、バレエ団でケガをしているダンサーのリハビリの一貫として多くのダンサーをピラティスのスタジオに送ったのが、ピラティスとバレエの最初のつながりだったのです。

 僕自身も、ピラティスをウォーミング・アップに取り入れていて、主にインナー・マッスルを刺激するエクササイズをしています。その後にウエイトを使ったエクササイズなどをして、ケガをしにくい体を作り、クラスやリハーサルの準備をしています。

 特に、実際にケガをしている時は全身に負荷が強いエクササイズができないので、ピラティスで負荷が少ないコンディショニングなどをして回復を早めます。ケガが治ってからも短い時間でリハーサルや本番に挑める体を作るという点でも、僕たちダンサーにとって、ピラティスはかけがえのないものです。

 もちろん、ダンサーでない人も、体を鍛えて日々の暮らしを充実させるという目的には、ピラティスはもってこいのエクササイズだと思います。これを機に、ぜひ、ピラティスで強い体と心をコンディショニングされてみてはいかがでしょうか。

このコラムの著者

岩本弘平/QLDバレエ団シニア・ソリスト

兵庫県伊丹市出身。11歳からバレエを始め、18歳でメルボルンのオーストラリアン・バレエ・スクールに入学。その後、ロイヤルNZバレエ団を経て、2018年にQLDバレエ団に移籍。趣味はウクレレ、スポーツ観戦、睡眠、日本のお笑い。祖母の手作り水餃子の味を懐かしみながら、大好きなウィスキーのグラスを傾ける。

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