第4回:セカンド・ワーキング・ホリデーに必要な「特定労働」とは?
皆様、こんにちは。東京でオセアニア・ビザ・コンサルティング事業を運営している、AOMビザコンサルティング代表·足利弥生と申します。
日本はさわやかな5月の季節から梅雨の気配を感じてきました。夏休みを見据えて皆様も海外旅行や短期留学を検討し、オーストラリアに留学する人も多くいらっしゃるかと思います。
前回、詳しくワーキング・ホリデーの歴史を説明しましたが、7月1日からオーストラリアの人件費が時給24.10豪ドル(約2,514円)、週給915.90豪ドル(約9万5,530円)に引き上げられることが発表となり、ますます日本からワーキング・ホリデーでオーストラリアへの渡航を検討する人も増えると予測しています。中にはセカンド・ワーキング・ホリデーを見据えてフルーツ・ピッキングなどを考える人もいるかもしれません。今回はセカンド・ワーキング・ホリデーに必要な「特定労働(Specified Work)」について解説したいと思います。
特定労働とは?
セカンド・ワーキング・ホリデーを検討する場合、政府が認定した特定労働を3カ月以上就労していると証明することで、更に1年間ワーキング・ホリデーの申請が可能となります。
また、セカンド・ワーキング・ホリデー時に更に特定労働を6カ月以上就労すると、サード・ワーキング・ホリデーの申請が可能に。これらは過去と同じ雇用主の下で勤務していても問題ありません。
地方における一次産業の労働者不足の解消を目的として、地方と指定している郵便番号の地域で「特定労働」の定義に該当する就労を実施することが要件となります。
オーストラリア政府移民省のホームページに非常に細かく特定労働についての説明があり、その種類や就労時間の計算方法や休暇中の就労など、詳しく解説されているため、こちらから抜粋します。
以下の業種が特定労働として認可されています。地域(郵便番号)は移民省ホームページで確認下さい。
- 2021年6月22日以降、オーストラリア北部または遠隔地及び超遠隔地における観光業及び飲食接客業
- オーストラリア地方における動植物栽培
- オーストラリア地方における漁業及び真珠養殖業
- オーストラリア地方における樹木の栽培及び伐採
- オーストラリア地方での鉱業
- オーストラリア地方での建設業
- 2019年7月31日以降に宣言された山火事被災地での山火事復旧作業
- 2021年12月31日以降に実施される自然災害被災地での復旧作業
- 2020年1月31日以降にオーストラリア全土で実施される、ヘルスケア及び医療分野における重要なCOVID-19作業
オーストラリアにおける労働力不足に対処するための政府の継続的なイニシアチブを支援するため、オーストラリア政府は特定業務要件に一時的に柔軟性を適用し、特定業務業種をより重視しています。これは、対象となる郵便番号において、特定産業の継続的な業務をサポートする業務が認められる可能性があることを意味します。
特にノーザンテリトリーについてはどこにいてもこれらの職種について認可されるので、特に観光業や飲食業などに関心がある人にとって良い選択の1つにもなるかもしれません。
どのように特定労働を探すのか
これらの情報はオーストラリア移民省やオーストラリア政府観光局のホームページにも詳しく説明があります。
オーストラリア政府観光局:2年目のワーキングホリデービザの対象となるオーストラリア政府の仕事と農作業
Harvest Trail: https://www.workforceaustralia.gov.au/individuals/coaching/careers/harvest
もちろん、フェイスブックなどSNS経由での日本人コミュニティーからの情報も1つだと思います。
こうした情報収集や仕事を決定するに際し、最も重要なのは情報にまどわされずよく調査し、どのような仕事をする上でも適切な英語力を身に付けておくことが大切です。海外で働くということは、語学に限らず、慣習や考え方、文化が異なるため、危険を察知し、行動できる「人間力」が大きく問われます。
もともと日本はほぼ単一民族の国であり、他人との意見がそこまで乖離(かいり)せず、大半似たような行動をとる点は多国籍が交わる「移民国家」と非常に大きな違いであり、行動面でもあらゆる注意が必要です。何よりも「平和で安全」すぎる国のため、多くの点で、他国の若者以上に「甘い」考え方や行動が多く見られるのも事実のため、自分の意思でワーキング・ホリデーで渡航したのであれば、現地における仕事探しから地方での農作業に至るまで、慎重に選択し、行動することが成功への道となります。
日本の地方を考える
少し話はそれますが、こうしたオーストラリア政府の取り組みについて、ふと日本のことを考えてみました。コロナ前から徐々に活発化した日本のインバウンド事業ですが、現在は更に日本への観光客が急増していることは周知のことであり、オーストラリアからの観光客も大変な増加率です。
日本はどうしても首都圏集中の世界が他国よりもはるかに偏っており、ビジネスも人口も東京や大阪に集中しています。急激に「インバウンド観光客」という現象がこの数年で起きている大きな問題としては、地方における観光客対応の多言語を操る人材不足が挙げられます。地方誘致促進に必要な多言語対応できる人材も同様です。
例えば、ニセコはもともと、オーストラリア人がスキー場開拓したことがきっかけで、ワーキング・ホリデー制度を熟知しているオーストラリア人が若者を早くから誘致し、スキー・インストラクターや冬の労働者として起用してきました。それが大きなきっかけとなり、ニセコは爆発的に海外への認知度がアップしました。
もし、日本にもこうした「特定労働」制度やセカンド・ワーキング・ホリデー制度をオーストラリアとのワーキング・ホリデー二カ国協定という枠組みから検討できれば、圧倒的に地方へ若者が流入し、地方の観光政策の担い手、そして共存し地方活性化への貢献にもなるのではないかと感じています。実態として、日本は地方人口が枯渇しており、何よりも若者や観光客が必要です。
オーストラリア政府はセカンド·ワーキング·ホリデーに必要な特定労働の制度を施行する以前に統計的にワーキング・ホリデーの多くの若者が実態として地方で長期に滞在する行動パターンを既に分析しています。こうした点から労働者不足の観点から特定労働という制度を発案しました。
皆さんの記憶にあるか分かりませんが、1980年代後半から90年初めは日本人のワーキング・ホリデー・メーカーがオーストラリアで大活躍した時代であり、多くの若者がワーキング・ホリデーで観光業へ従事し、その時代は80万人を超える日本人観光客を動員しました。その後、就労、そして永住ビザを取得し、日豪の架け橋としてオーストラリアとの重要な交流の担い手になっています。ワーキング・ホリデーが観光業に最もシナジーがある理由としては、日本人の若者たちはワーキング・ホリデー・メーカーとしてあらゆる土地を訪れ観光しているため、日本人観光客のためにその魅力を伝えることが得意であり、こうしたマーケティングが観光客増大につながりました。
現在、多くの外国人は日本の「地方への魅力」に更に関心が高まっており、外国人観光客は全国津々浦々に存在感を増しています。
こうした背景を知ることで、日本もオーストラリアのワーキング・ホリデー制度や政策を知り、先鋭的な観光政策を実施できるのではないかと期待したいところです。
(出典:オーストラリア内務省、オーストラリア政府観光局)
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