よく移民弁護士が「移民代理業者登録局(Office of the Migration Agents Registration Authority / OMARA)」にリストされていないので、移民法に関するアドバイスができないのではという問い合わせを受けます。
確かに数年前までは、オーストラリアの弁護士が移民法に関するアドバイスを提供する場合、弁護士としての資格だけではなく、OMARAへの登録が必須でした。長年この二重登録制度には多くの問題が指摘され、特に、法的アドバイスを行うことができる資格を持つ弁護士が、移民法に関するアドバイスを提供するのにわざわざ追加でOMARAの登録も求められるのは不必要な負担であり、二重登録の手間とコストが掛かると言われてきました。
こうした背景を受け2021年3月、弁護士にとってのOMARA登録の義務が廃止される法改正が行われました。現在、オーストラリアの弁護士はOMARAの登録なしで移民法に関するアドバイスを提供できるようになっています。筆者も法改正前までは弁護士資格に加えOMARAへの登録も行っていましたが、現在はOMARAへの登録はありません。
オーストラリアの弁護士は、州・準州ごとに設置されている法律協会によってその活動は厳しく管理されており、必要な訓練と研修を経て弁護士資格を取得します。資格を維持するために毎年一定の継続専門教育を受ける必要があり、最新の法改正やスキルを修得し続けることが義務付けられています。
各弁護士の専門にもよりますが、弁護士によっては移民法以外に商法や労働法、不動産取引法などの分野に詳しい場合もありますので、ビザに関連して投資、ビジネス購入、不動産売買、雇用問題などの相談もできるといった利点があります。
日本からオーストラリアに移住を希望する方々にとって、言語や文化、習慣の違いがもたらす不安は少なくありません。そんな中、日本語で移民法を含む法律に関するアドバイスを提供できる弁護士の存在は大きな支えとなるでしょう。
アドバイザー
清水 英樹
オーストラリアQLD州弁護士。在豪30年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営